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【g665.jpg:古代ローマ街道の遺跡。急斜面の岩に、荷車用のわだち階段(長さ約8m)がある】

Passo del Malojaマロヤ峠(1815m)

日本のJR在来線の線路巾は、古代ローマの1頭だて荷車の規格?・・
セガンティーニ一家が眠る地・・【●峠DB

スイス:グラウビュンデン州】[北村 峠一].(Kitamura)      


●Passo del Malojaマロヤ峠(1815m)


 ユリア峠とともに中世から使われていたマロヤ峠に到着します。

アルプスの分水嶺・峠の拡大地図
【マロヤ峠とユリア峠の位置関係:赤は大分水嶺。
クリックで中世の交通路へ】

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【g717.jpg:マロヤ峠から南を見る・・この先300mほど先にブレガリアを見渡せる場所がある】 【g718.jpg:マロヤ峠から北を見る・・】

 このマロヤ峠には2001.7.1にも来たのですが、最標高1815mの標識のある場所から約300mほど南に、Val Bregagliaブレガリアの谷を見渡せる場所があります。ブレガリアの谷の右手に、古代ローマ時代から中世に主に使われたSeptimerpassゼプティマー峠方向、さらに右にはPiz Lunghinルンギン岳(2780m)。このすぐ北にあるLunghinPassルンギン峠(2645m)が南のポー川、東のイン川(ドナウ川へ)、西のライン川の3主要流域の分水嶺になっているのです。

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【g638.jpg:峠の360度・南西方面:Val Bregaglia、Piz Lizun (2518m)、Septimerpass (2310m)、Piz Lunghin (2780m)、Piz Grevasalvas (2932m)、Piz Lagrev (3165m)、Lej da Segl/Silvaplauna】

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【g641.jpg:峠の360度・南東方面:Piz da la Margna (3159m)、Passo del Muretto (2562m)、Pizzi dei Rossi (3027m)、Piz Salacina (2599m)、Val Bregaglia、Piz Lizun (2518m)】

 峠の南東方面には、Piz da la Margna (3159m)、Val Maroxマロッツ渓谷の先のPasso del Muretto (2562m)、Pizzi dei Rossi (3027m)、Piz Salacina (2599m)が見えています。

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【g645.jpg:Val Maroxマロッツ渓谷の先にみえるPizzi dei Rossi (3027m)】
ヨーロッパアルプスのハイキング地図
【ヨーロッパ・アルプスのハイキング地図】
  【国別地図】  【日本語ガイド本】

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●セガンティーニの墓地 Sentiero Segantini


 マロヤの村のインフォメーションに立寄ります、これから1週間の散策のための情報収集です。まずこの周辺の詳細地図を買い、そして古代ローマ時代の街道に関する情報と小冊子を入手しました。また山岳峠の開通状況を聞きましたが、ゼプテーマ峠はOK、ルコマーニュ峠はまだ3mほどの雪でクローズとの事でした。

segantini-family
 さらにこの東の林の中に、Giovanni_Segantiniジョヴァンニ・セガンティーニ(1858-1899)の墓地がある事を聞き、そこを訪れます。

 そこに一家の墓地がありGiovanni、妻Bice、子Mario、Gottardo、Albertoの墓石が並んでいます。
セガンティーニ一家の墓地の場所
 ソーリオで「生」を描いたセガンティーニの、3部作の中の「死」の作品の背景の山々は、このマロヤ峠から見える山。南のVal Maroxマロッツ渓谷を見る方向が絵の中心です。
 喪服の婦人達が棺を馬そりに乗せる、雪の朝のシーンです。
 (セガンティーニ美術館のHPへもどうぞ)

Sentiero Segantini
【g648.jpg:セガンティーニ一家の墓地と、セガンティーニ小道の案内板】

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●古代ローマ街道の遺跡


 インフォメーションで聞いた古代ローマの遺跡を見つけるため、ハイキングコースを歩いて峠を下って行きます。そのルートは現在の自動車道路とは大きく異なって、ほぼ東に向かっているのです。

 1812年、オーストリアの技師カール・ドネガニが軍事目的で、西にあるシュプリューゲン峠(2113m)【●峠DB】を整備し、数年後にはこのマロヤ峠、ユリア峠のルートも軍事目的で整備されたといいます。そのとき現在のような南にジグザグに下るルートが出来たのでしょう。

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【マロヤ峠の地図と上空写真:赤の左上がハイキングコースで、多分古代〜中世のルート。右がセガンティーニの墓地】

 インフォメーションのおじさんは「15分ほど下ったところにある」と言ったのですが、なかなかその場所に到着しません。道に岩が現れているところには、車輪のわだちのような跡もありましたが・・峠道を半分以上下ったでしょうか。かなり急な坂道を30分近く歩いてやっと、その場所に着きました。
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【g659.jpg:直前の道の岩に、荷車の車輪跡がみえる】 【g664.jpg:遺跡の上の部分には、カーブに沿って岩が削られている】
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【片側の岩にはいくつもの穴があり、ここに材木を挿し、テコにして荷車を持ち上げたのだろう】


 大きな岩を下る所に、車輪用のガイドレールと、片側の岩には多分テコで荷馬車を持ち上げるためだろう穴が、幾つも削ってありました。全長約8m、坂の高さは約5m・・。そして脇に「紀元1世紀頃の古代ローマ街道の遺跡」の解説プレートが置いてあります。 ローマ街道の遺跡の場所

 馬、ロバ、人力で荷を運びあげた時代、荷車にたくさんの交易の荷を積んだまま、この急斜面を押して、そして引っ張りあげてよじ登ったのです。この荷役で生計を立てていた人たちが、この峠周辺にかなり多く住んでいたのです。想像するだけで本当に素晴らしいシーン、2000年前の人たちのパワーを感じます。

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【g661.jpg:この岩を下る所に、車輪用のガイド、右側に多分テコのための穴が幾つも削ってある。長さ約8m、高さ約5m】  【g660.jpg:紀元1世紀頃の古代ローマ街道の遺跡解説】

●案内板の内容:Strada romana ”Malogin”

<イタリア語>
Strada romana ”Malogin”
La rampa del Mologin scoperta nell' anno 1972,dal Sig.Armon Planta di Sent.
・Construito nel primo sec.D.C.
・Larghezza car: 107cm
・Profondita car: 10-15cm
・Pendenza: 25-30%
<La rampa(急斜面の階段/タラップ) del Mologin scoperta(発掘) nell' anno(西暦 年) 1972,dal Sig.Armon Planta di Sent.>
<翻訳:日本語>

古代ローマ街道遺跡”Malogin”
「Mologinマロヤ峠遺跡」の急斜面の階段は、1972年Sent.出身のArmon Planta氏が発見した。
・紀元1世紀頃
・車幅:107cm
・わだちの深さ:10〜15cm
・スロープ:25-30%

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●日本の鉄道の在来線路巾は、古代ローマの1頭だて荷馬車の規格?・・


 この車輪巾107cmは、日本の鉄道在来線(狭軌)の巾:1067mmと一致しています。

 広軌の1435mmは、古代ローマ帝国の「Chariotチャリオット(2頭引き2輪戦車)」を引く戦闘馬2頭の尻の幅(4フィート8.5インチ)の規格が世界で使われているのです。1頭の馬やロバ、または人がひく荷車の巾にも当然規格があったはずで、多分この値がイギリスでも用いられ、日本の鉄道で採用されたのでしょう。

●鉄道の広軌と、古代ローマの2頭だて荷車の車輪巾


 広軌のゲージは1435mmですが、これは鉄道を最初に敷いたイギリスが導入した規格。それが世界に広まったのです。この4フィート8.5インチは、 「古代ローマ帝国が造った『ローマの道の車輪の幅』から来たもので、Chariotチャリオット(2頭引き2輪戦車)を引く戦闘馬2頭の尻の幅から来たものだそうです。古代ローマの道を移動する2頭だての馬車・荷車は、この戦車と同じ車輪幅で作られたようです。

シャリオットと、2頭だて馬車・荷車
【シャリオットと、2頭だての馬車・荷車】

●石畳と荷車の車輪の溝

Donnasドンナ:アオスタ街道の車輪跡 グラン・サン・ベルナール峠:街道の車輪跡 石畳と車輪ガイドレール
【ドンナ(アオスタ)、グラン・サン・ベルナール峠の車輪跡。石畳と車輪ガイドレール】

 ローマの道には、車道に馬車の二つの車輪の幅に合わせて溝が削られています。これは「磨耗によるわだち」ではなく、「人為的なガイドレール」と推定されます。凸凹の石をフラットになるよう、あらかじめ人力で掘り削り、振動を減らし、道から荷車が飛び出しにくくするための知恵でしょう。

●推定:日本の鉄道狭軌と、古代ローマの1頭だて荷車の車輪巾

1頭だての荷車 わだち
【1頭だて荷馬車。斜面を削ったわだち】

 日本の鉄道狭軌は1067mm(3フィート6インチ)は、『初めて日本に鉄道が敷かれる時招かれたイギリス人技師が、「日本は山地が多く、用地確保と工事の難しさ、コストなどから<少々狭い方が良いだろう>と決めた』とのことです。

 この1067mmはここマロヤ峠の車輪巾と一致している事から、「古代ローマ時代から、山岳地域などの急で狭い街道用の規格として定められた値」と推定されます。


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●たくさんの花たちが・・


 帰り道は、あの急坂を息を切らせながらの登りです。でもお陰でたくさんの花を撮影しながら、ゆっくりと・・

 長く使われなかった峠道、車の排気ガスで汚染されていない場所の花たちは種類も多く、色も鮮やかです。【●峠の花たち

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【g711.jpg:黄色系、白系の花】

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【g656.jpg:赤系の花】

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【g650.jpg:青系、緑系の花】

<関連するサイト>

<近隣のサイト>
http://it.wikipedia.org/【wiki/Passo_del_Maloja:解説】
http://it.wikipedia.org/【wiki/Giovanni_Segantini】
線路の幅【スペースシャトルのブースターロケットの太さも】

<ヨーロッパ・旅・・・>


<関連書籍・地図>

ヨーロッパアルプスのハイキング地図、ガイド洋書  山渓など:日本語編

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<シルス湖〜シルヴァプラーナ湖に沿って・・>
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