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Madrisertal
【h086:マドリゼル谷/マドリス谷でひつじの移牧に出会う】

Madrisertal/Val Madrisマドリゼル谷/マドリス谷

ひつじの移牧・・車を規制した古代からの街道は、花が一杯・・【谷DB

スイス:グラウビュンデン州(GR)】[北村 峠一].(Kitamura)      


●この谷も、古代の街道・・


 Madrisertalマドリゼル谷/Val Madrisマドリス谷は、イタリアのダム湖Valle di Leiレイ渓谷の東に並行して南北に走っている谷。このスイスの国境の谷は、ライン川の源流のひとつMadriserrheinマドリゼル・ライン川で、Pass da la Prasignolaプラシニョラ峠(2724m)やBergalgapassベルガルガ峠(2790m)を越えると、ポー川流域に入りSoglioソーリオ村や、マロヤ峠の南のブレガリアの谷に行く事が出来ます。

 ですから古代ローマの時代からの南と北をつなぐ街道だったのです。しかし通過して来たViamalaヴィアマラのような恐ろしい峡谷を通過しなければならず、この南の3000m近い峠越えなどあり難しい道でした。やはり低いゼプティマー街道が好まれた訳です。
Val Madris
【Madrisertal/Val Madrisマドリゼル谷/マドリス渓谷のEggelti(1838m)の標識。南にPass da la Prasignolaプラシニョラ峠やBergalgapassベルガルガ峠を経てSoglioソーリオに向かう街道がある】
Vall-Lei-map
【Madrisertalマドリゼル谷の南にPass da la Prasignolaプラシニョラ峠。右下にBergalgapassベルガルガ峠がある】
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●佐貫亦男はこの谷に3度来た・・


 ユーフ村のところで書いた佐貫亦男(1908-1997年)は、このマドリス谷に3度足を踏み入れています。(1974.8.22:クレスタ1泊、マドリス谷往復。1978.8.27-28:1980.7.23-24:ユーフ2泊、マドリス谷往復。1981.7.21:クレスタ2泊、マドリス谷往復)

 彼はなぜ3回もこの谷に来たのでしょう。『佐貫亦男のチロル日記』(p221-)に記述された内容を抜き出してみると、
「ある夏に友人の車でこのシュテットリよりちょっと先まで入ったが、そこから向こうは車禁止だったので引き返した・・」

「つぎは歩いてもっと奥までいってみたが、晴れていても風の強い夏の日だったので、プレダと呼ぶ放牧農家のあるアルプの手前まできて止めた。あまり快い散策でなかったからである。ただ、そのとき向こうに、中々面白い山があった。ウィスベルクと呼び、長い三角が足を投げ出して寝そべったような峰で、雪をつけていた・・・」

「日本に帰ってから、どうも残念でしかたないから、翌年の夏またでかけた・・。ピッツ・ブレスが見えた・・3000m級で・・ダムの傍らで昼食にした・・本当はもうすこし歩き、谷の住民がイタリアに抜けるとき越した高い峠を眺めるつもりであった・・少しくたびれていたので、峠を見たってしょうがないと引きかえした。これだからまた出直す必要が出てくる。そしてそれがまたつぎの旅の楽しみとなる」 こんな風に毎回すこしづつ先に歩いていって、山の形などを色々な角度から観察するのが、彼の旅のスタイルのようですね。

 私の旅の形にも若干似ていて、漏れてしまった峠も「また来ればいいさ」と思っていると次のチャンスで来れるのです。「一度に完璧に物事など出来ないもの」だという凡人の考え方ですが。

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●Madrisertalマドリゼル谷へ・・


 Vall di Leiのダム湖の帰り、Crotクレートの集落で道を右に折れます。その先の道は細く、すれ違いは大変そうでしたが、一台の車ともすれ違わず4-5km先のStettliシュテットリに。そこ以降は許可車以外は通行止めになっていて、脇の空き地に駐車します。晴れて天気はいいのですが、空気が冷たく風もあるので雨具で防寒して、奥に向かいます。

 なかなかいい眺め、南正面にP.Blesピッツ・ブレス(3045m)も見え、水量もかなりある滝も迎えてくれます。

Madrisertal Madrisertal
【g128:Stettliシュテットリには民家が2-3軒のみ】 【g011:Stettliシュテットリ付近から南にP.Blesピッツ・ブレス(3045m)がみえる】

Madrisertal
【g010:Stettli付近からMadrisertalを南に向かう】

Madrisertal
【g014:北を振り返るとStettliの集落が見える】

 途中、ちょっと小高くなった先からは、イタリア側の斜面にアルペンローゼンの群落。まだ満開には早いのですが、佐貫が来た7-8月は素晴らしいでしょう。

Madrisertal Madrisertal
【g082:ペンローゼンの群落】 【g087:「Wissbrgウィスベルク(2980m)の寝そべり」と佐貫が表現した雪山。放牧農家のあるアルプ:Merlahittaの集落付近】

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●ひつじ数百頭がトラックで移牧・・


 通行止めのはずなのに、何台もの車が谷の先に向かって追い越していきます。最後には大きなトレーラーのトラックが3台も登って来て、すぐ先の牧場に駐車。このトラックの車体脇には「Animal-Transport」と書かれていて、中には羊が一杯。トレーラーのそれぞれが2階建てになっていて、各フロアに親羊、子羊が50-60頭乗っているようですから、合計600-700頭くらい運んできたのです。

 みるみるアルプに降りてくるひつじ、身体に似ずものすごいジャンプ力を見せる太った羊もいます。これから秋まで、この一帯の牧草を食べ、毎日乳を搾ってチーズ、羊毛の刈り取りをするのでしょうか。
 と思って調べると、「羊は11月〜7月に乳を沢山だし、8月になると身ごもってあまりミルクが出なくなってしまう」「ヨーロパでは羊は乳、肉のためで、羊毛にはあまり用いない」とのこと。今は6月20日ですからしばらくすると乳は出なくなって・・秋、妊娠太りで山を下るんですね。

 牧場主の家族や、美人の女の子、かわいい男の子もネット張りなどを手伝っています。

Madrisertal
【g018:ひつじを大量に積んだトレーラー・トラックが2台】

Madrisertal Madrisertal
【g020:ひつじの移牧】 【v069:ひつじのジャンプ力はすごい】

Madrisertal
【v068:数百頭のひつじを、2台のトレーラ・トラック(2階建て)で運んできた】

Madrisertal Madrisertal
【v083:牧場主の娘は美人】 【g023:息子も元気にお手伝い】

Madrisertal Madrisertal
【h089:左のかっこいい髭親父は、このアルプに住みついているらしい】 【g127:おばあさんも犬を連れてハイキング】

Madrisertal
【g059:A.Bles(1886m)付近で引き返す。この1kmほど先に小さなダム湖がある。この付近からは「ウィスベルクの寝そべり」とはちょっと違う山の形。Pass da la Prasignolaプラシニョラ峠は右端付近だろう】
 ビデオをまわしながらこんな風景をずっと見ていたのですが、下ろす作業も一段落。ワインなどの荷物がアルプの一角に用意され、山の牧場の親父さんや、トラックの運送の運転手や作業の人たちの祝いが始まるようです。

 邪魔にならないようにと、僕たちは数百m先の奥の山が見渡せるところまで行って昼食にします。食べながら、持参した佐貫亦男の本を読んでみますが、彼はもう少し先の湖まで行って引き返してきたようです。【谷DB




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●ここは花が見事な谷です・・


Madrisertal
【g083:赤色系】

Madrisertal
【g079:赤色系】

Madrisertal
【g064:白色系】

Madrisertal
【g096:青色系】

Madrisertal
【g122:黄色】

Madrisertal
【g098:緑・他色】
 佐貫亦男も書いていますが、この谷のアルペンローゼの群落は見事です。
「この花はアルプスではもっとも普通だが、それをいたるところで、それぞれ趣向を凝らせて咲かせているところが、この谷のもてなしのように感じた。私は、よくやっているな、と感嘆した。店は小さくても、心をこめて飾りつけているようである。・・・」

 アルペンローゼばかりでなく、たくさんの種類の、いろいろの色の花たちが出迎えてくれます。行止まりの渓谷、大量の自動車が入って来ない谷、放牧が行われている自然一杯のアルプ・・そこはほぼ間違いなく花の豊かな場所です。【●アルプスの花たち

 Stettliシュテットリからの帰り道、やっぱり対向車と遭遇してしまいました。本当に狭い道、かなりの距離バックせざるを得なかったのですが・・ハンドルが日本と逆なので・・やっぱり苦労しましたね。

<関連するサイト>

http://www.rsgs.org/【Alpine days:1955年7月に撮影したMadrisertal、Aversなどの写真】
http://wwf-gr.webofsections.ch/【Val Madrisのダム化計画があったが動植物保護のため廃案になった】
http://en.wikipedia.org/【wiki/Oberhalbstein_Range】

<関連書籍・地図>

『佐貫亦男のチロル日記』
ヨーロッパアルプスのハイキング地図、ガイド洋書  山渓など:日本語編

<ヨーロッパ・旅・・・>



●スイスのワイン検索
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<Crestaクレスタにもちょっと寄って・・Avers谷全体の紹介も・・>

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