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Vall di Lei
【g009:Vall di Leiレイ谷とLago di Leiダム湖:東側からの眺め:ダムのみがスイス領】

Vall di Lei/Lago di Lei レイ谷/ダム湖(1935m)

奇妙に入り組んだ、スイス・イタリアの国境はなぜ?・・【谷DB

スイス:グラウビュンデン州(GR)】[北村 峠一].(Kitamura)      


●スイスとイタリアの奇妙な国境線・・


 右の地図を見てください、左下はイタリア、残りはスイスです。両国の国境線の黄色をよく見ると、ダムサイトのみがスイスに入っています。そして赤色は北がライン川、南がポー川の流域です。
Vall-Lei-map
【Vall di Leiレイ渓谷、ダム湖、国境、流域、発電送水路】

bormio-history
【Veltlin+Vall di Leiの歴史】
 そして「Via Malaヴィア・マラ峡谷〜Val-Ferreraフェッレーラ渓谷」のページで紹介した「Punt-Martegn、水力発電のための水路トンネル・ルート」を緑で現しています。

 ライン川の源流でイタリアから流れ出している個所はこの谷だけです。ヨーロッパアルプスのほとんどの国境は、大分水嶺が境なのですが、ここも「峠・国境・ダムなどが入り組んでいる場所」のひとつなのです。

 そしてさらに、ダムサイトだけがスイスに入っているのも、かなり珍しい場所です。あちこちの情報から、この付近の歴史を調べてみました。

●Vall di Leiレイ谷の歴史と国境


・この谷の記録の最古は1462年で、ミラノ公国のBregagliaのPiuro(dt Plur)村だった。

・1512年、ボルミオ、リビーニョなどソンドリア県一体(Veltlin/Valtellinaヴァルテリナ)はミラノ公国の管理下から、スイスに加盟

・1797年、ナポレオン1世の勢力化でCisalpine Republicチサルピナ共和国ができたとき、このソンドリア県一体もスイスから分離し併合(7月)され、1802年にイタリア王国になる。

・1815年、ナポレオン失脚のウィーン会議で、オーストリア帝国領となる。

・1859年、サヴォワから台頭したサルディーニャ王国は、ナポレオン3世の支援の下イタリア統一が実現(1861年)した。この谷は1863年イタリア王国領〜現在のイタリアとなった。

・1961年、第二次大戦後スイス・イタリア間の交渉で、水害対策なども兼ねた水力発電所ダムが完成した。ダムに蓄えられた水は、トンネルでスイスのPunt-Martegnに送られ発電される。

・同年両国の領土補正が行われ、ダム周辺がスイスに、北側の同等面積がイタリアに割譲された。このため、国境線が奇妙なかたちになっている。


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●ユーフからダムサイトに・・


 6月20日、土曜日。ユーフ村に滞在していた僕たちは、昨日通過した道を戻り、途中のCrestaクレスタのスーパーでパンを買います。この谷で食料品を調達できるところが、この村のスーパーしか見当たらなかったからなのです。三つ編みのようにしてあるしっかりしたパン(4.5Chf)が気に行ったのですが、このパンはサンクト・ガレンの町の屋台で買って美味しかったのが病みつきになって・・このあと2日間の昼食にしたのです。

 更に戻ったCampsutの先で分岐し、ダム方向に登って行きます。そして長いトンネルを抜けると、そこが「Lago di Leiダム湖」・・Vall di Leiレイ谷に1961年に作られたスイス第二の大きさのダムです。時々日は射すのですが風もあって寒い。ダム湖脇に駐車し、しっかり雨具で防寒して堰堤を対岸のイタリア側に向かいます。

Vall di Lei
【g993:ダムえん堤から西側を見る】
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●美女たちの出迎え・・


 ダムの向こうで迎えてくれたのは美人の牛たち。かわいい顔をしていて、人懐っこく僕たちの歩く道に沿ってついてきます。ロープが張られているし、まだ子牛のようでちょっとオズオズしているからいいのですが、貫禄が出たおばさんが、ロープなしで群れているアルムを通過するのはちょっと怖いですね。
 ・・人間の社会でも、おばさんばかりの中を一人で歩くのは、度胸がいるので一緒ですが。

 左耳に識別番号、右耳にある「Lilli、Linda、Lala、Laby、Lolaなどという名前が」彼女たちの愛称でしょう。それにしてもLから始まる名が多いですね。

Vall di Lei Vall di Lei
【g001/g998:えん堤の西川で出迎えてくれた牛たち】

Vall di Lei
【g997:Tunisia-Indiano、Lilli、Linda、Lala、Laby、Lolaのみんな美女たち】
Vall di Lei
【g0022:ダムのえん堤を走っている動物運搬車は、イタリアナンバーだ】

 ここは厳密にはまだスイス側ですが、数百mほど先の集落はイタリアの「Alpe del Crot」でしょう。見渡したところ狭いスイスのエリアに集落はなく、イタリアと間に厳密な国境線もみえません。牛も牧草を食べながらイタリア側にも移動するのでしょうし、乳を搾るところは多分あの小屋でしょう。

 そしてちょうど今、ダムのえん堤を走っていった動物運搬車のナンバープレートは、イタリアでした。工業国スイスは、この水の利権のためだけにダムを作りその場所を買い取ったのでしょう。一方農業国イタリアは、昔から牛を飼うためにこの谷を使っていて、ダムサイトもそのために利用しているのです。でもここからイタリア領に行くには、ぐるっとスプリューゲン峠を通過するなど、30-40km以上もかかって大変でしょうね。

Vall di Lei
【g002:ダムの東側を見る:右に見える範囲はすべてイタリア】

Vall di Lei
【g006:Vall di Leiレイ谷(1935m)。Madesimo方面は3.5〜6.15時間】

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 イタリア領には入らずに戻ります。僕たちが停めた車の横にトヨタのRAV4が停まっていて、イタリア・トリノナンバーでした。彼ら二人の自転車はダムを渡って行きましたから、湖に沿って上流まで走ろうとしているのかもしれませんね。

Vall di Lei
【g004:スイスからのトンネル入口とダムサイト】

Vall di Lei
【g005:スイス国旗、グラウビュンデン州紋章、イタリア国旗】

<関連するサイト>

http://de.wikipedia.org/wiki/(ドイツ語)(英語)【Lago_di_Lei】
http://it.wikipedia.org/wiki/【Val_di_Lei】
http://de.wikipedia.org/wiki/【グラウビュンデン州の紋章】
http://wwwsoc.nii.ac.jp/【ダム情報:堤高285mのGrande Dixence(スイス)は重力式コンクリート型式では1位。Leiはスイスで2位】
http://www.youtube.com/http://www.youtube.com/【Val_di_Leiのダム工事の記録:動画】

<関連書籍・地図>

ヨーロッパアルプスのハイキング地図、ガイド洋書  山渓など:日本語編

<ヨーロッパ・旅・・・>



●スイスのワイン検索

<すぐ東の谷Madrisertalマドリゼル渓谷に行ってみます・・>

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