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to Die〜ディの町に向かって

この地を進軍した状況ハンニバルは?

前方にプレアルプスが・・ヴァランス〜トリノなど東西の交易ルート・・そしてフランス最古の自然派スパークリング・ワインのふるさと

フランス:ローヌ・アルプス地方Dromeドローム(26)県】  [北村 峠一].(Kitamura)      

【ローヌ川のロリオールから東に、ドローム川に沿ってプレアルプスのエリアに入る】
2019/6/19(水)
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●Crestクレスト〜



【前方(東)に変わった山並みが見えてきた。右端は「Saouの山塊:Roche Colombe(標高886m)」】


【2002年に見たSaouの山塊】

2002.6.12、このCrestクレトスの交差点をに南下。

 VercorsヴェルコールのCombe-Lavalラヴァル背斜谷から、Grignanグリニャンに向かった。

 その時に見た「テーブル台地と岩肌がSaouの山塊」。

Saouの山塊:Roche Colombe(標高886m)G-map=44.65826, 5.0459



【多分この交差点を2002.6.12に南下。VercorsヴェルコールからGrignanグリニャンに向かった】

●Crestクレスト


https://fr.wikipedia.org/wiki/【クレスト(ドローム)】
https://www.francethisway.com/【Crest:クレスト:トラベルガイド】

●Prealpsプレアルプスのエリアに・・


Crestクレストを過ぎたあたりから、周辺に低い山が見えてきます。Prealpsプレアルプス=ヨーロッパアルプス山脈につながる、中程度の高さの山地=のエリアに入ったのです。

ドローム川が削った茶色の山肌、その堆積の平地は穀物・果実等が豊かそうです。

old-roman-road-valence-torino
【塩野七生:ローマ人の物語No.27-p.177〜)   図:クリックで拡大】

そしてこの街道は、古代ローマ以前から・・ハンニバルの時代にはすでに・・ヴァランス〜トリノなど東西の交易ルートだったはずです。



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●Route de la Clairette de Die クレレット・ド・ディー街道



【d96号線Peyrache分岐付近:ドローム川にロアンヌ川が合流する当たり。ブドウ園(Cave)が続く】


【d96号線Peyrache分岐付近:cave Jacques Faure・リュック・フォーレブドウ園

●Clairette de Die クレレット・ド・ディー

https://winebooks.jp/4981【クレレットドディーとは?特徴とブドウ品種、合わせる料理】
 クレレットドディー(CLAIRETTE DE DIE)は、フランス最古の自然派スパークリングと呼ばれるワインで、個性的なアロマが豊かな発泡ワインになります。
ディーの村を中心に31のコミューンで構成されていますが、おおよそローヌ川の支流のドローム川流域で造られているといっていいでしょう。
 ローヌ川の流域のなかでもドローム川と分岐するルプーザンのあたりはなぜかブドウ栽培がおこなわれていません。
 ぶどうが栽培できそうものならどこでも植えてやるという気質のフランス人がこれをやらないのが不思議なくらいで、その先にポツンとあるのがこの栽培エリアなのです。

 どうしてこんな山奥でワインを造ろうとしたのかは興味深いのですが、歴史は相当古く、古代ローマ時代には上質なワイン産地で知られていたという記録が残っています。
 当時の歴史家、プリニウス(大)は当時ヴォコンスと呼ばれていたディのワインを、ローマ帝国最上のワインとして称賛しているのです。
 ヨーロッパは水質が悪く、もともと水とワインを割って飲んでいたのですが、ヴォコンスのワインはさっぱりしていて水と割らないでも飲めるワインとして重宝していた、というのです。
 実際に現在のクレレットドディ―も、アルコール度数が少なめのうす甘口のワインが主体で、飲みやすく、さっぱりしていてウキウキするような味わいです。
 大人数が集まるパーティーの乾杯やウェルカムドリンクにぴったりで、ワインファンならずとも一度は試してみたいワインとして強くお勧めします。

 クレレットドディーは瓶内二次発酵(シャンパン方式)のスパークリングワインで、クレレット種が100%、最低瓶内熟成期間は9か月、残糖15グラムです。
 程よい甘さで9%程の低アルコールなので、お酒につよくない女性でも飲みやすいスパークリングワインです。



【d96号線:ドローム川にそって北に向きを変える。正面Barsacバルサック村の北にある900-1000mの禿山】

●Pontaixポンテ



【鉄道が上を通過。DieのCentre Historiqueまで10km】

鉄道が上を通過したすぐ北でPontaixに入る。正面の山に砦が見える。Chateau de l'Aiguebelle。
Cascade d'aiguebelle、ドローム川の橋を渡る。古い町並み。
【Pontaixと砦】


【ドローム川を渡る。正面にカトリック教会、谷の斜面に張り付くような古い家並み】


【ドローム川の対岸にはプロテスタント教会が見える】

●Pontaixポンテ

・ドローム渓谷の狭い通路にある戦略的な場所にあり、ValenceとDieの間のローマ街道が通過していた。
・12世紀のポンテ城の遺跡、教会・礼拝堂には15-17世紀の絵画・壁画がある。
・宗教戦争におけるディオイスのプロテスタントの要塞

https://fr.wikipedia.org/【wiki/Pontaix】
https://www.france-voyage.com/【フランスのヴァカンスガイド:Pontaix】

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●Parc Naturel Regional du Vercorsヴェルコール地方自然公園



【Parc Naturel Regional du Vercorsヴェルコール地方自然公園の看板】

この付近から「ヴェルコール地方自然公園」のエリアに入ったのです。
下図のように、DIEの左下に入ったわけですが、この公園 独特の地形が沢山あるところと感じます。

●Parc Naturel Regional du Vercorsヴェルコール地方自然公園


・ヴェルコール地域自然公園は、1970 年に作成された地域自然公園で、ドローム県とイゼール県にまたがり、83の自治体をカバー。
・北アルプスと南アルプスが合流するヴェルコールは、そのレリーフと動植物の両方の点で、並外れた発見の地です。

https://www.gites-de-france-alpes.com/pnr-du-vercors.html
http://vercors.unblog.fr/category/geographie/
https://www.parc-du-vercors.fr/
https://fr.wikipedia.org/wiki/Parc_naturel_r%C3%A9gional_du_Vercors


2002年の旅では「Vercorsヴェルコール山地」の周辺をあちこち走りました。当時の映像をいくつか・・

●Clellesクレル村から見る台形の特徴的な「Mt.Aguilleエギュイユ山(2086m)」や、


●Sisteronシストロンから北方向に見る「ヴェルコールの山並み」。


さらに●、Dieディの北の山にある「Combe-Laval ラヴァル背斜谷



●Grenobleグルノーブルの西:Sassenage:ヴェルコールの岩山の褶曲・・・まるで巨大なシャチがまさに大地からのし上がって来たような・・


など。・・地形もですが・・当時のデジタルビデオの画像、今回のビデオ画像に比べかなり画質劣りますね。17年も違うのであたりまえでしょうが・・・

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●La Dromeドローム川が東から西に流れ・・橋を渡る頃・・正面に・・



【La Dromeドローム川の橋から東に2000mを越えるMontagne de Glandasse・・プレ・アルプスが見えだす】

ヴェルコール高原の最南端の岬がGlandasseグランダッセ山。石灰岩の光る山肌が見事です。Wiki:Le Glandasse


【まもなくDie:その先に2000mを越えるMontagne de Glandasse・・プレ・アルプスが見えだす】


【Col de Rousset/ suivre:Vassieux en Vercors】

2002年に登った峠「Col de Rousset:ルーセ峠(1254m)」方面の標識、
同じくVassieux en Vercorsの村には、第2次大戦時のヴェルコールのレジスタンスの歴史博物館があった。


<⇒Dieディーで2泊し・・ >

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【赤色:ドローム川に沿ったハンニバル軍推定ルート】
Elephants

●「ハンニバルと象」が、この地を進軍した状況など(推定-006)






●カルタゴの将軍ハンニバルと象が越えた峠
●有力推定ルートのIndex


 ・前のポイント=001:ハンニバルの生誕〜ローヌ川着(サン・ジル付近)
 ・前のポイント=002:「ローヌ渡河+渡河戦」(タラスコン付近)
 ・前のポイント=003:「ハンノの分遣隊ルート」(アヴィニョン付近)
 ・前のポイント=004:「島」 (エーグ川)(オランジュ付近)
  ↑↑
 ・直前のポイント=005:ドローム川に沿いアルプス方面に(ロリヨール付近)
  ↑↑
★このページ=006:ドローム川沿い〜アルプス方面に(Dieディの前まで)
  <006a:ドローム川〜アルプス方面に(Crestクレス付近)(2002.6.12紀行)>
  ↓↓
 ・次のポイント=007:Dieディの町


<この地に到達時のハンニバル軍の推定状況>
・BC218年10月9日〜12日頃「ローヌ川を離れ、ドローム川に沿って進軍。アルプスの麓まで残り3日。
・「島」からブランクスの案内人が進路を案内する。
・軍の規模は、歩兵3.8万人、騎兵7.7千騎、象37頭(G-p49)。
・軍の荷物を運ぶ「駄獣」は、7-8千頭+民間人1-2千人。
・一日の行軍距離平均14km
●ガリアの種族とその場所

【ガリアの種族とその場所。 クリックで拡大】

●ローヌ川を離れ、ドローム川に沿い〜この地まで
 ・「島」でブランクスから軍の再装備(食料・武器を新しいものに・防寒着・靴提供)を受けた。

 ・ブランクスは、アロプロゲス連合や敵からの襲撃を避け、安全にアルプスの麓まで行軍できるよう案内人を出した。ハンニバル軍の後部も護衛した。(G-p33-54)(P-p306=第3巻49)

 ・ローヌ川に沿ったこのLoriol s-Dromeロリヨール付近から、推定されているルートは大きく2つに分かれます。
●アロプロゲス連合の領土

アロプロゲス族のエリア(緑色+黄色)

  最有力は「トラヴェルセッテ峠ルート」で、ここから東に向かう支流、Dromeドローム川に進む道(G-p60)。

  次の有力は「クラピエ峠ルート」で、さらにローヌ川を行き、約20km北でIsereイゼール川に沿うルートです。

 ⇒多分ブランクスの案内人は下図のようにドローム川(Drome/Drona)に沿い、ディ(Die/Dea/Dea Augusta)に向かうことでガリアのアロプロゲス族Allobrogesの領地を通過せず進軍したでしょう。


【最有力推定ルート(緑ルート)】

 ・その方向には、プレアルプス(アルプス山脈につながる中程度の高さの山地)で、当時この地は、ウォコンティ族(ゴールの諸部族のひとつ)の勢力範囲でした。(G-p58)

 ・平坦な地方を通っている間、大きな戦闘はなかった。ブランクスの山岳ガイドに護衛を提供してもらったことも大きい。(J-p116)

 ・ハンニバルが行軍したであろうルートは、後の「古代ローマの時代の街道<Valence/Valentiaヴァランス〜Vapincurn/Gapガップ〜Brianson/Brigantiumブリアンソン〜Torinoトリノ>」の道に沿っている。(SN-P.177-)



⇒ハンニバル軍の道案内したブランクスの使者も、この「アロプロゲス領に入らない」ルートで、当時でもかなり人の行き来の多かったと想定される「このトリノに向かう街道」を案内したのではなかろうか。
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●ガリアの種族とその場所
 ・当時の推定地図
Allobrogesアロプロゲス族【 イゼール川の北。現代のリヨンとジュネーブの間のガリア人】
Segalauni/Segovellaunesセガラウニ/セゴヴェローヌ族【ヴァランス周辺(アッロプロゲスの南、カヴァレスの北)のローヌ渓谷に位置するガリア人】
Tricastiniトリカスティーニ族【ローマ時代に、現在のサンポールトロワシャトーの近くにある現代のトリカスティン地域に住む小さなガリア族】
Cavariカヴァリ族【ローマ時代の現在の都市アヴィニョン、オレンジ、カヴァイヨン周辺(ボークリューズの西部)に住むガリア人】
Voconces/ラテン語 Vocontiiヴォコンティ族【プレアルプに定住したガリア人の連合体】
Tricorii/Tricoresトリコリイ族【南アルプスに住むナルボンヌゴール出身のケルト人-リグリア人。「3つの軍隊」の意味】

■参考資料:
本:Polybiusポリュビオス著 『ポリュビオス 歴史〈1〉』城江良和訳:京都大学学術出版会(P-page)
本:Gavin de Beerギャヴィン・デ・ビーア著 『ハンニバルの象 ALPS and ELEPHANTS』時任生子訳:博品社(G-page)
本:John Prevasジョン・プレヴァス著『ハンニバル アルプス越えの謎を解く HANNIBAL CROSSES THE ALPS』村上温夫訳:白水社(J-page)
本:Hans Baumannハンス・バウマン著『ハンニバルの象つかい』大塚勇三訳:岩波書房:(H-page)
https://penelope.uchicago.edu/Thayer/E/Roman/Texts/Polybius/3*.html【Polybius/歴史第3巻】
https://omnesviae.org/#【OmnesViae:Roman Routeplanner:Google-Mapsにポイティンガー図を展開】
本:新潮文庫:『ローマ人の物語「すべての道はローマに通ず」上:No.27 p.177〜』塩野七生:(SN-page)
本:The Green Guide:『French Alps』2020 Michelin:(M-page)



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