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Passo di Gavia
【141.jpg:ガヴィア峠南側道路はかなり拡張されたが、やはり狭い】

Passo di Gaviaガビア峠(2621m)-1

ガビア峠の南ルートは、誰もが認める狭い峠道。【●峠のDBへ
あのパンターニも、今年ここを登るはずだったのです。

ロンバルディア州ブレシア県/ソンドリオ県】   [北村 峠一].(Kitamura)      


 ポンテ・ディ・レーニョ(海抜1258m)の朝は青空。僕たちを見送ってくれる大きな看板のガビア湖の写真は、さらに空・湖ともに真っ青と、最高の眺めが期待できそうです。

 このガビア峠、2001年の6月末の時は閉鎖でした。毎年、冬の雪で道路がひどい被害を受け、その整備に時間がかかるのでしょう。今年(2004年)も心配していたのですが、運良く今年のGiroジロ・デ・イタリアがこのガヴィア峠を5/28に通過。その前日5/27には峠道が開通する旨の情報が事前に入手でき、安心してここまで来れたのです。

 このガビアの道の狭さは相当有名らしく、前日出会ったイギリスのサイクリストたちは、「行ったことは無いが、ガビア峠はすごく狭い道だぞ」と。地元のポンテ・デ・レーニョのインフォメーションのお姉さんまで「狭い道だから気をつけて」と教えてくれます。Webで事前に調べた峠道の写真、それほど昔に撮影したものでもなさそうなのに、狭さと悪路が写っています。覚悟して峠に向かいましょう。

Gavia峠の南側
【Gavia峠の南側:●クリックで峠全域】
Ponte di Legno
【d742.jpg:町の看板にはガビア湖の写真。見事に空・湖ともに真っ青】
psso-gavia
【峠を紹介しているサイト、
狭く未舗装、オーバーハング
した岩の道】

 Oglioオリオ川の源流に沿って、右手前方に見える山はトレンティーノ州との境のM.Tonaleトナーレ山(2694m)あたりでしょう。さらに登って見えてきた雪山は、ガヴィア峠付近のCno.del Tre Signoriトレ・スィニョーリ山=3人の男=(3359m)の山のようにも見えます。

Passo di Gavia
【102.jpg:Oglio川源流方面に登っていく。正面の山の向こうはトレンティーノ州、M.Tonale(2694m)あたりだろうか】

Passo di Gavia
【106.jpg:見えてきた雪山は、ガヴィア峠付近のCno.del Tre Signori(3359m)の山のように見えるが?】

18ステージ
【18ステージ
クリックで詳細】

 道の脇のコンクリート面に、大きな落書きがあります。今年(2004年)5月28日のジロ・デ・イタリア、第18ステージの、選手への応援メッセージのはずです。この18ステージは、Cles Val di Nonを出発し、トナーレ峠(1883m)、ガヴィア峠(2621m、今大会最標高地点=Cima Coppiチマコッピ)、ゴールのボルミオ2000(1938m)までの118kmの山岳コースだったのです。

Passo di Gavia Passo di Gavia
【111/115.jpg:道の脇コンクリート面に、大きな落書き。PIRATA SARAI X SEMPRE NEI NOSTRI ハートマーク】

Marco Pantaniマルコ・パンターニ
Marco Pantaniマルコ・パンターニ
 ここに書かれた落書きの「PIRATA SARAI X SEMPRE NEI NOSTRI」のPIRATA(ピラータ=海賊)とは、スキンヘッドにバンダナで「海賊」のあだ名で親しまれていた、イタリアの国民的英雄・山岳スペシャリストのMarco Pantaniマルコ・パンターニのことです。

 1998年のジロとツール・ド・フランスを制したパンターニは、次の1999年のジロでは、彼自身が「もっとも美しく過酷だ」と評した峠モルティーローロMortirolo -Passo del(1855m)、チマコッピ(大会最高標高)のガビア峠を含む3日連続の山岳ステージの最初の2日、誰も寄せ付けない力を見せつけたのです。当時たくさんのファンも、ここで彼を応援していたのです。

 そしてここを走るはずの3ヶ月前、2004年2月14日に自らの34年間の命を絶ったのです。
「パンターニ、君はいつまでも僕たち心の中にいる」
 本来ならこの峠でトップを走っているはずの、170cm 55Kgと小柄な天才的登りのスペシャリストへの、ファンからの追悼の落書きだったのです。

<2004年 第87回 Gilo-Italiaジロ・デ・イタリア-18ステージの実況・結果>
 ☆http://www.cyclingweb.jp/world/news/200406/040087_0601.html【実況】
  http://www.cyclingweb.jp/world/news/200405/040018_0529.html【結果:最難関ステージでクネゴが4度目のステージ制覇】
 i:「16ステージ:フルチア峠付近の情報」

Passo di Gavia
【120.jpg:谷の前方が開ける】

Passo di Gavia
【131.jpg:カーブの斜面に牛たちが草を食んでいる】

 オリオ川の渓谷の前方が開け、大きなカーブの斜面に牛たちが草を食んでいる風景を見たすぐ先から、急に道路巾が狭くなります。地図で最初のジグザグ道路の付近です。林の中、ヘアピンカーブの連続、すこし薄暗がりで見通しも利かなくなります。追い越していくオートバイや、あえぎながら登っていくサイクリストと比較してみても分かるように、この道路巾はすれ違いが困難なほど。前方をよく確認し、対向車を感じたら、早めに広そうな場所で待機しないと大変そうです。

Passo di Gavia
【134.jpg:林の中の道、急に道路巾が狭まる。かつ見通しが利かなくなり】

Passo di Gavia
【140.jpg:オートバイや自転車と比較してみても分かるように、すれ違いが困難。ところどころ広くしているところで、対向車を待つ】

 上の方から降りてくるエンジン音を注意しながら走っていたはずだったのですが、突然目の前のカーブから大型の乗用車が現れました。状況からはこちらが脇に避けるしかなく、前の方にすれ違い出来そうな巾が無いので、仕方なくバックを始めます。

 さてどこまで下がったらいいのか? 助手席の妻もビデオを回している余裕などありません。後続に車が無いのが幸いですが、なんといってもこの狭さ。かなり下がりますがまだすれ違い出来ません。右側通行で、こちらサイドが山側なので、崖から落ちることは無いのですが、石積みの壁に触ったら・・まあレンタカーに保険はかけているからと観念して・・結局100m近くもバックしてやっとすれ違い出来ました。

 このヘアピンを通過後には、それほど狭い場所はありませんでしたが、早朝で車の少ない時間帯だったので、たったこの1回だけの苦労で済みましたが、時間が遅くなって車が多かったり、夕方の視界が利きにくい時間帯だったら、この峠は大渋滞するでしょう。

 オーストリア・イタリア国境のStaller Sattel / Passo Stalleスタッレ/スタラー峠のように時間・一方通行させるような交通ルールにしないと、夏のシーズンには大変なことになる場所です。でも、過去の写真で見る悪路・狭隘路に比べるとかなり改善されていましたから、近いうちにこの林の中の連続ヘアピン部分も補修されることになるでしょう。

Passo di Gavia
【156.jpg:ヘアピンを抜けやっと広めの道まで来た。左(南)はポンテ・デ・レーニョの南のAdamelloアダメッロ。正面〜右(西側)はM.Coleazzo(3006m)、Cma.Monticello(3177m)、P.Pietre Rossa(3212m)】

Passo di Gavia
【d48.jpg:Adamelloアダメッロ(3554m)の山並み】

 これほどすばらしい眺めの道は、アルプスの峠道の中でもめったにお目にかかれません。今まで走ってきた南のAdamelloアダメッロ山の連なり、西側は、Oglioオリオ渓谷を隔ててM.Coleazzo(3006m)、Cma.Monticello(3177m)、P.Pietre Rossa(3212m)、そして北にはM.Gaviaガビア山(3223m)が見え始めます。森林限界も超え、周囲には低い草だけが生えた岩山の風景。さらにその先、雪害対策であろうトンネルを抜けると・・

Passo di Gavia
【171.jpg:北のM.Gaviaガビア山(3223m)が見え出す。このあたりも少し道幅狭いが、すれ違いは容易】

Passo di Gavia
【179.jpg:狭い道を最近作ったらしいトンネルを越えると、M.Gaviaガヴィア山(3223m)の角度が変わってくる】

Passo di Gavia
【189.jpg:大量の残雪が道路わきまで】

 大量の残雪が僕たちを迎えてくれます。巨大な岩の間を縫うように走る道、かなり大掛かりな道路整備の跡が見えます。過去のガビア峠の写真で、オーバーハングした悪路は多分この付近だったのでは?

Passo di Gavia
【1a4.jpg:巨大な岩の間をくねるように道が続く。かなり大掛かりな道路整備をしたのだろう】

Passo di Gavia
【1a7.jpg:峠直前でまたも急激なカーブが連続するので、南方面が見え始める。過去の峠の写真の、オーバーハングした悪路は多分この付近?】

Passo di Gavia
【1d5.jpg:今来た峠道とOglioオリロ渓谷が眼下に】

 そろそろ峠が近づいた頃、またも急激なカーブが連続し、今まで登ってきた道や、南の山、渓谷が右に左にと見えます。僕たちの前方に、赤いオープンカーがゆっくりと景色を楽しみながら走っています。その後ろを追うように、僕たちもゆっくりとついて行きます。

 赤い車体、雪の白、殺伐とした灰・茶の岩肌・・脇の岩面や道路に白く書かれたジロの応援落書きも、まだ1と月ほどしか経っていないのでところどころに残っていています・・

 M.Gaviaガビア山(3223m)、Cno.del Tre Signoriトレ・シグノリ山(3359m)、Adamelloアダメッロ山・・長い間楽しみにしていたガヴィア峠に、今到着します。

Passo di Gavia
【1d7.jpg:ちょうど赤いオープンカーの後ろを追うように走る。雪の白、殺伐とした岩肌、まだいくつか残るジロの応援落書き】

Passo di Gavia
【221.jpg:左:M.Gavia(3223m)、右:Cno.del Tre Signori(3359m)〜Cma.di Caione(3140m)】

<Passo di Gavia付近のWeb-Site>

 ○Passo di Gaviahttp://www.ovtc.net/1954alpinerally/【1954年の峠ラリー】
 ○http://www.gsoto.easynet.co.uk/it_ride11a.htm【Passo di Gaviaの勾配グラフも】
 ○http://www.vallecamonica.info/passo_gavia.htm【ガビアの観光ガイド】
 ○http://www.ulb.ac.be/di/ssd/ldoyen/e/gavia.html【ガヴィア峠は最近までもこんな悪路があった】
 ○http://www.alpentourer.de/alpenpaesse/italien/gavia/gavia.html【Alpentourerドイツ:Passo di Gavia-ガビア峠周辺ドライブ】
 ○http://www.hotelgenzianella.com/ing_home.htm【S. Caterina のホテル】

<峠の大量の残雪にしばし休みましょう・・・>

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