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Bivio
【g907.jpg:ビヴィオの宿のお茶目な4世代目と若い3世代目】

Bivioビヴィオ(Oberhalbstein渓谷)

古代から続く街道・・この村で2000年以上を生き抜くための宿経営とは・・

スイス:グラウビュンデン州】[北村 峠一].(Kitamura)      


●宿は日本で予約すべきだった?・・


 ここBivioビッヴィオ(ビーヴォ)に3泊しJuliapassユリア峠Malojapassマロヤ峠SurlejスールレイSeptimerpassゼプティマー峠などを周るベースキャンプにしたのですが、計画した時から悩んでいたのです。
「事前に宿をとっておくべきか? ホテルや民宿はかなり少なそうだし?」と。

 私のアルプスの旅は、基本的に現地で宿を見つけます。
「ベースキャンプとして、周辺への行動範囲がよいところ。宿代が安いところ。快適で眺めの良い宿・・」など、現地に行って決めたほうがいい場合が多かったのです。それにレンタカーですから、
「雨が続きそうなので、アルプスの反対側に行ってしまおう」などという、行き当たりばったりが出来るのです。

 ところが今年のほとんどのルートはスイス。この国の物価・宿代は高く、最近の日本円の力がかなり低いことから、安宿を見つけるのはかなり大変と判っていたのです。


【Bivioとゼプティマー街道周辺地図・・クリックで峠DB】

【Bivio村全体・・クリックでGoogle地図】
 この周辺で基地となりそうな村を検討しましたが、ユリア峠を越えるとサンモリッツの郊外で高い。反対側はかなり小さな村でインフォメーションもなさそうです。そこでこのビヴィオの村をネットでかなり調べた結果、3つ星のMinotelというチェーンホテルが1.6〜1.8万円(2人朝食付き1泊)。もう一軒は2つ星で約1.4万円といずれも予算オーバーです。

 休暇アパートが数軒あって、部屋代のみ1泊約4-5千円。村にスーパーがあれば、自炊も出来るのでそれが好条件ですが、開いているか、連泊の条件、洗濯代の別請求、事前支払いなどがわかりません。まあ3泊を予定しているで、現地のインフォメーションに早めに行って、安宿を紹介してもらおうと決めていたのです。

 この村に着いたのが2時前。標高1800mの村は曇り空と風もあって、車から一歩出ると震えるほど寒い、関東地方の真冬の気温です。新築したばかりのようにみえるインフォメーションは、灯りも点かず真っ暗。6月16日とまだシーズン前の平日のせいで、観光客が来ないのです。ドアに書かれた営業時間では「2時半オープン」なので車に戻りますが、一度冷えてしまった身体は車の中でも寒いのです。

 ヨーロッパはアイドリングストップのルールがあり、停車中はエンジンを切らなければならないのでヒーターで温められません。ガマンして30分、オープンするはずの時間になってもインフォメーションの照明は暗いまま。おかしいなと再度見に行きますが、ロマンシュ語?イタリア語?・・どうやら火曜日の午後は休みと推測しました。

 さてどこに泊まる? 村は国道に沿って約400mの範囲、スーパーも見当たりません。そしてあらかじめ調べておいた2つ星ホテルは小さなビジネスホテル風、中に客は見えず寒そうです。もう片方の3つ星・・即、決めたのです。暖かそうだし、何人ものお客がテラスでビールまで飲んでいるのですから。

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【g582.jpg:Hotel Solariaソラーリア。僕たちの部屋は、本館2階の左のカーブの部屋。この川を遡ると3時間でJufへ】

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【g583.jpg:宿の向かい側:360度】

 いつもの事ながら、ホテルのカウンタに価格を聞きに行くときはすでに負け、値段はもうあきらめているのです。でも3泊するので割り引いてくれたのでしょう、部屋代105Chf(スイスフラン)のところ70Chf/人、夕食(40Chf)付き2人で1泊当たり220chf(@約1.9万円)。そして暖房の効いた部屋に入ったときにはほっとし、その二部屋続きの間取りをみた時には、ネットで頼むより安かったと実感したのです。

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【g901/g897.jpg:暖かくて2間続きの部屋】

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【g608.jpg:部屋から川と村を見る】

ヨーロッパアルプスのハイキング地図
【ヨーロッパ・アルプスのハイキング地図】
  【国別地図】  【日本語ガイド本】

●食事はさすがに三つ星、Minotelのホテルだけの事はあって・・


 宿お勧めの定食を頼んだのですが、おいしかったのでメニューと写真を参考に残して置きます。ただし夕食付き(ハーフペンション)にせず、個別にお腹の具合を考えて個別に注文しても、良いかもしれません。夕食分は40Chf(約3500円)なので、あまり注文しないのなら格安かも?
 初日夕食は、Mixed Salad、Tomatocream soup、Scalops with egg Spagehttis、Caramel Custard。カラメルで皿に描いた葉は芸術品でした。朝食もうまかったです。

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【g587.jpg:初日夕食:トマトスープ、ポーク・ホタテ貝・卵・スパゲティ、カラメル・カスタード】 【g604.jpg:朝食ハム・チーズ・タマゴ・パン、コーヒー・・やはりホテルは充実】

 2日目のメニューは貰い忘れましたが、トマト・チーズ、スープ、ステーキ、アイス

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【g747.jpg:2日目夕食:トマト・チーズ、スープ、ステーキ、アイス】

 3日目は、Melon with Parma ham、Cauliflower creme soup、Braised beef in a red wine sauce/Mashed potatoes/Summer vegetables、Banana spilit。マスがテラスの水槽に飼われていましたが、料理用でしょう?

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【g905.jpg:3日目夕食:パルマ生ハムとメロン、カリフラワー・クリームスープ、ビーフ、バナナケーキ】 【g761.jpg:マスが水槽に飼われている。料理用?】

ゼプティマー峠周辺の地図
【ゼプティマー峠周辺の地図】
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●過去1千万人以上(?)が泊まった宿場町・・


 このビヴィオを通るゼプティマー(セット)峠の街道こそ、紀元前から200年前の1800年ごろまで、アルプスを南北に越える主要3ルートのひとつだったのです。皇帝、国王、軍隊、商人、宗教者、巡礼など年1万人としても2000万人がここを通ったのです。長い峠越えの距離から、半分以上の人は宿泊せざるを得なかったでしょうから、宿場としても、馬や荷役の中継地としても長くにぎわった街だったのです。

 東のブレンナー峠、西のグランサンベルナール峠は今でも一般国道、高速道、トンネルなどで南北をつないでいますが、このゼプティマー峠には自動車道路が作られず廃れてしまったのです。そしてこのビヴィオは、ユリア峠を経てサンモリッツに行くルートがあったため(村の名Bivioは、語源的に「ふたまた道/三叉路」を意味している)、わずかの宿だけが生き残った小さな村になってしまいました。

 僕たちは毎夕食後、この歴史一杯の民家風景、周囲の雪山から流れてきた小川、そこに咲く花たち、夕暮れの周囲の山々を見ながらの散策を楽しみにしました。そしてビールを飲みながらのテラスからの風景も。

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【g601.jpg:村の遠景:ユリア峠・ゼプティマー峠から流れてきたGelgia川】

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【r230.jpg:村の遠景:ユリア峠・ゼプティマー峠から流れてきたGelgia川】 【g753.jpg:夕暮れ時、西の丘方面からの眺め。右Piz-Grevasalvas山(2932m)、正面Roccabella(2727m)、左の谷がユリア峠に】

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【g594.jpg:村の花たち】

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【g895.jpg:晴れた日、ビールを飲みながらのテラスからは山も美しい】

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●村の中を散策していると、壁絵なども・・


 街道にそった建物ぞいや、裏道などをちょっと見上げたとき、いくつかの壁画やモザイク画、グラウビュンデンの柱のだまし絵などを見つけました。こんな風景もアルプスの旅情ですね。【●アルプスの壁画

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【g755.jpg:村の壁画:聖母子:モザイク】
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【g605.jpg:Hotelの壁画】

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【g759.jpg:赤い窓のある広場と教会の塔がみえる】

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【g756.jpg:村の教会の塔の模様は、だまし絵】

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【g760.jpg:何気ない石の階段に飾られた人形たち・・】

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【v698.jpg:村風景:インフォや2星Hotelがある方向】

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【v702.jpg:村風景:右の狭い路地が国道】

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【v709.jpg:村風景:壁画がある】 【g758.jpg:壁画:ゼプティマー街道を行く旅人】

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【v714.jpg:村風景:壁画のある家と教会。改装中のHotelの先、村の東はずれの斜面を登ってゼプティマー峠に行く】

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●4世代目の女の子・・


 宿には2歳半の女の子がいました。ほとんどお客がいないオフシーズン、珍しいお客さんのところには、おもちゃ箱を持って遊びに来ます。折り紙で遊んでやりコマなどをプレゼントすると、早速ママのところに行って報告。親から言葉を教わって「サンキュー」と言いに来ます。じっとしていられず、レストランの中、外を走り回るので、家族は追いかけるのに大変・・でもこんな風にかわいく遊んでくれるもてなしが、泊まり客を喜ばせるのです。

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【g743/g745/g903/g904.jpg:宿の2歳半の女の子】

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【g908.jpg:お茶目に走り回る4世代目と、追いかける3世代目パパ(兄)と3世代目(弟)】

●3世代目、2世代目・・


 実は3日目の朝、食事時間の7時半にレストランのある2階に降りたのですが、まだ開いていません。ドアの付近には前日朝に隣の席だったドイツの女の人が一人待っていて、「時間なのに開いていないんです」と。
「きっと朝寝坊しているんですよ、しばらく待ちますか」と待つこと数分。全然物音がしません。そこで1階に見に行き、床掃除をはじめたおじさんに「朝食がまだなのですが」と声をかけたのです。

 確認に来て、誰も準備に来て居ないのに気づき、おじさんは階段を登り、担当者を起こしに行きます。そしてあわてて降りてきたのは、あの受付や4世代目の女の子をあやしていた若者。まだ髪の毛がばさばさに立ったままで、完全に寝坊した事がわかります。約20分遅れで準備開始、掃除のおじさんも手伝って、ハム・チーズ・生タマゴ・パン・コーヒーの朝食の用意が出来たのです。日本と違って朝、暖かいものはコーヒーだけ。タマゴはお客さんがセルフでボイルするのですから、5分前に起きればいいのですが・・

 どうやらあのおじさんが2世代目? またはその親戚? そしてシェフが3世代目で朝寝坊のあにき。下の写真の乗馬をしているのが4世代目のママ。彼女は宿の事はあまり手伝わず、一日に一回は乗馬や犬の散歩をしている風景を見ました。

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【v735.jpg:高そうな馬で散歩に行く3世代目ママ】 【v740.jpg:友人と2頭で】

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【v743.jpg:ハイキングのカップル、馬での散歩、乗用車。この3つの組み合わせが、歴史の村にふさわしい】
 この村に滞在する人たちの目的は、歴史ある街道のハイキングが多そうです。この写真がこの村をよく現しているような気がします。

 お腹が出て太った夫婦がハイキングから帰ってきました。後ろの奥さんは足にサポータをしていますね。そして宿の経営者は時間を見つけては馬での散歩。当然お客さんを連れての乗馬ハイキングもするでしょうから、一挙両得です。

 そして小型乗用車。決してここにアメリカ車のような大きな高級車の客は来ないのです。こんな3つの組み合わせが、歴史の村ビヴィオににふさわしい風景です。

ヨーロッパアルプスのハイキング地図
【ヨーロッパ・アルプスのハイキング地図】
  【国別地図】  【日本語ガイド本】
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●そして1世代目・・宿経営とは・・


 出発の朝、残念ながら小雨模様です。7時半の朝食時、昨夜遅く大型バスで到着した団体客40人以上でレストランの中は一杯です。ハム・チーズ・パン・・もう僕たちが食べるものはほとんど無いほどの食欲。

 まあ、忙しい団体客は時間が経てば腹も膨れ、あわてて出発するでしょうから、と思ったのですが中々そうはならないのです。追加されたわずかのチーズ・パンを食べはじめていると、あの目覚めの悪いお兄さんが、僕たちだけのバスケットにクロワッサン・チーズ・ハムを持ってきて、そっと耳打ちします。
「ヨーグルトは食べたいか」と。
 うなずいてしばらくすると、ヨーグルトとゆで卵を持ってきてくれました。

 そう言えば昨日までの朝食にはあった生卵とゆで卵器もなく、最初のハムやチーズも心なしか安物、クロワッサンも団体客には出さないらしい。やはり安価に契約するツアー客には、料理の質を落として収支をあわせなければならないのでしょう。

 食後外に出て見ると、その団体客の乗ったバスは旧東ドイツのワイマールのナンバーでした。団体客のおじさんに「ワイマールからか」と聞くと「バスはその町だが、自分たちはちょっと離れた村からだ」とのこと。やはり高物価のスイスに、旧東欧の低所得の人たちのツアー、互いに収支を合わせるのは大変なのです。

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【v747.jpg:3世代目(弟)と足が悪い1世代目?のおばあさん】 【g902.jpg:4世代目の役割は大きい】
 9時過ぎやっと団体客のバスが出発し、フロントが空いたので僕たちもチェックアウトします。対応してくれたマダム、彼女が2世代目。昨日テラスに松葉杖で来てお茶をしていた、あの膝の悪いおばあさんが1世代目でしょうか。

 「次回来る時には、あの4世代目の孫娘は、僕たちより背が大きくなっているでしょうね」と冗談話をしたのです。僕たちの次の行き先がJufユーフと聞いて「これから歩いて峠越えするのか」とジョークを返してきました。

「さよなら・・」
 日本語です。あの「ねぼすけ」なお兄さんが、別れの声をかけに来てくれます。

 僕たちがお会いした、4世代にわたる宿の人たちのもてなし。前の時代にも同じように宿の4世代の人たちが、旅をする色々な年齢層の人たちを泊め、食事を出し、会話し、接触してきたのです。「今度来るときには、あの子はどんな風になっているだろう?」・・ふとそんな気持ちが湧きます。

 何千年もの間、途切れなく宿を経営して行く力、そのノウハウがここにあるようです。

「今はこの村もちょっと小休憩だけれど・・何百年もたてば、また繁盛するよ」と。

宿●:スイス:グラウビュンデン州(GR)
Bivioビヴィオ(1769m)(Oberhalbstein渓谷)
<Hotel Solariaソラーリア(☆3)>



【おしゃまな4世代目】

【3世代目も苦労している】
・2009年6/16(火)-6/18(木)-19朝出発、3泊利用。
・ユリア峠の西にあるBivioビヴィオにある。
・古代ローマ時代からのゼプティマー峠往復のため泊まる。
・Minotelグループのホテルで、このあたりではかなり高級ホテル
・3世代に渡ってTorrianiトリアーニ家が所有・経営している伝統あるホテルとのこと。
・ドイツなどから団体バスの客も多い
・ツインルーム、ハーフペンション(夕・朝付)(220chf=140+HP80(約19千円/2人)
・普段こんな高いところには泊まらないのだが、暖房と食事を考慮しここに。
・事前にネットで探し予約すれば、もう少し安く泊まれた可能性あり。Minotelなど
・サンモリッツなどにも近いので、各地への基点になりうる。
・駐車場は建物の前・横。

私のお勧め度:3.5

Booking.com Hotel Solaria

・Fam.Tarriani und Mitarbeiter
・住所など:Julierstrasse 43, Bivio
  Tel.: +41 81-684-5107 Fax: +81 684-5290
・Email: solaria@hotelsolariabivio.ch

Google地図



<近隣のサイト>
http://www.bivio.ch/【Bivioの観光ガイド】
http://en.wikipedia.org/wiki/Julier_Pass【wikiのユリア峠ガイド】
Hotel Guidon Bivio【Bivioの2つ星のホテル】


スイス:グラウビュンデン州で利用した宿

<関連するサイト>

<近隣のサイト>
http://www.bivio.ch/【Bivioの観光ガイド】
http://www.savogninbergbahnen.ch/【Savogninガイド】
http://www.savognin-gr.ch/【】
Hotel Guidon Bivio【Bivioの2つ星のホテル】
http://de.wikipedia.org/【wiki/Oberhalbstein】

<関連書籍・地図>

ヨーロッパアルプスのハイキング地図、ガイド洋書  山渓など:日本語編

<ヨーロッパ・旅・・・>



●スイスのワイン検索


<次の宿は、山を越えた南・・ぐるっと回って・・Jufユーフ>

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