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Die ディ周辺(Dromeドローム渓谷) 

フランス:(26)ドローム県】 [北村 峠一].(Kitamura)     

●2002/6/12
Sisteronシストロンを出て、僕たちの車は快適な天候の中、北のVercorsヴェルコールの高地に向かって走っています。
 Cabreカブル峠(1180m)を過ぎDromeドローム川に沿って下っているのですが、Clellesクルレから見たMt.Aigulleモンティーギュの山やその周辺の急激な傾斜と違い、この周辺の山並みはなだらかです。
 ・・・険しい渓谷の上から襲撃された地点(ハンニバルがアルプスの登り道2日目にアロブロゲスAllobroges族に襲われた地点)は、この峠道ではないようです。
右方向にChatillon-en-Dioisシャティヨン・アン・ディオワの地名が出てきました。数日前に雪目で引き返した付近の場所です。先方の山のえぐられた形に見覚えもあります。

【die12.jpg:右にChatillon-en-Dioisのロータリー】


【21.jpg:平坦なドローム川の平野、低い丘、ポプラ】


 右上のほうにすこし高い山並み(1200-1600m)が見え始めます。Vercorsヴェルコール山塊の高地です。間もなく海抜410mほどにあるDieの町です。

【34.jpg右がヴェルコールの山並み】



 Dieディは人口4000人ほどのドローム渓谷の主要な町です。すでに2世紀にはガリア人の主要都市で、ミラノ・ウィーンなどを結ぶルートの記録があるといいますから、ハンニバル(BC218年)の時代にも存在していた大きな町だったのでしょう。古い教会や、家並みが川から少し高い位置に展開しています。

【50.jpg:ディの町。教会や古い建物。左下にドローム川が流れる】


【55.jpg:町の中心道路:川に沿って狭い商店街が続く】


 道路に沿ってできた町の中心街・・・美術館、城壁など見所が多いのでしょう。たくさんの若者が町にいます。Press新聞社などもあり活気のある町です。

【66.jpg:情報・商業などの中心の活気ある町】

Dieディの町に2019.6.19〜2泊しました。


 数百mほど走るともう町の外れ・・・右(北)に方向を変え、ヴェルコールの高地(1200〜1600m)に向けて急な坂を登っていきます。

【81.jpg:町の西から、北に進路を変えヴェルコールに登って行く】


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ディ周辺の地図
【Die ディ周辺の推定ルート地図(緑ルート)】

Elephants

●「ハンニバルと象」がこの地(推定)を進軍した当時の状況など。

 ●前のポイント「Crest」←  【●ハンニバルの有力推定ルート】  →●次のポイント「St.Roman/Chatillon」


【広域推定ルートの地図(緑ルート)】

ハンニバル-カルタゴの興亡:p27
【カルタゴ軍、ハンニバルと象:『カルタゴの興亡』創元社】
<ここまでの経緯>
・約4カ月前スペインを出たカルタゴの軍は、ローヌ川をさかのぼり、支流のドローム川にそって東へ。

・ローヌ川のブランクス部族が、山岳ガイドと護衛をこの付近まで提供したため、この付近でも大きな戦闘はなかった。(J-p116)。

<この地のハンニバル>
・この地点でのハンニバル軍の規模は、歩兵3.7万人、騎兵8千騎、象34頭
 (アルルでの規模から若干減=歩兵:スキピオ軍との戦いや、急な川の流れで)(H-p177)。

・ハンニバルが、このディ付近を通過したのはBC218年10月10日頃。イタリア国境の峠越えまで16日。(アルプスの登り口まで1日ほど前:一日の行軍距離平均14km)

・当時この地は、ウォコンティ族(ゴールの諸部族のひとつ)の勢力範囲。ディ司教区であり、ヴェルコール山岳地帯を含む地域(G-p58)。


<行軍の町や村への影響>
 ハンニバルの数万人の軍が移動したルートの村は、大量の食料提供で冬を越す食料すらなくなったと思われます。

ここディは、司教区があった大きな町だったし、秋の畑の農作物や、山の果実の収穫期でしたが、町の1〜2カ月分に相当する食料を提供したことでしょう。
 (必要食料/日=25ton=約5万人*500g/1日1人当り食料・・・4000人規模の町の約1月分以上)

 10月はじめ、黄葉にはまだ早い時期ですが朝夕は冷えます。屋外での野営はマントに包まって寝ても寒かったと思われ、周辺の枯れ木を燃やして暖を取ったのでしょう。炊事に使う火も考えると・・・1kg/日人なら50ton=4tonトラック13台分!!・・・ちょっとした林がなくなる量でしょうね。


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【Die ディ周辺の推定ルート地図(緑ルート)】

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 ハンニバル応援
 ・Gavin de Beerギャヴィン・デ・ビーア 『ALPS and ELEPHANTSハンニバルの象』時任生子訳:博品社(G-page)
 ・John Prevasジョン・プレヴァス『HANNIBAL CROSSES THE ALPS ハンニバル アルプス越えの謎を解く』村上温夫訳:白水社(J-page)
 ・Hans Baumannハンス・バウマン『ハンニバルの象つかい』大塚勇三訳:岩波書房:(H-page)
 ・The Green Guide:『French Alps』2001 Michelin:(M-page)
 


<ヴェルコールの高地に登りきるとRoussetの峠です・・・>
●ご意見・お問い合わせ・情報・何でも・・・「峠の茶屋・掲示板」でお待ちしています。
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