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Crissolo
【d094c.jpg:クリッソーロ:ホテル3階の部屋には、目の前巾数mのポー川の流れの轟音が夜中響く】

クリッソーロ(1)
Crissolo: イタリア最大の河ポー、源流に一番近い村

「うまい」「シニョーラの料理は最高なのよ」魔女も満足そう・・

イタリア:ピエモンテ州・クネオ県】[北村 峠一].(Kitamura)      


●ポー川の不思議・・


 6月13日水曜日: クネオの西にある2400mクラスの4つの峠を通過した後、Saluzzoサルッツォから西にポー渓谷に、この旅一番の楽しみにしているCrissoloクリッソーロに向かいます。3泊を予定しているのですが、晴れてくれるでしょうか。

 私がこのポー川の源流をさかのぼるってみようと思った理由は、例のハンニバルと象がこの渓谷のフランスと国境にある、「トラベルセッテ峠」を通過した可能性が大きいことからなのです。

 彼が部下たちを引き連れ峠の上で見せたイタリア、その遠くまで見渡せる地形はこのポー渓谷だろうというのも一つの有力な根拠なのです。でも、それが偶然イタリア最大の河、ポー川本流の源流だというのはちょっと出来すぎではないかとも思うのです。見晴らしのきく峠や渓谷は他にもいくつかありそうですから。
ポー河の本・支流とクリッソーロ 【Po川の本・支流。Crissoloは本流の一番奥の町。その西はフランス国境】

 それにもう一つの疑問は、右の地図を見て判るようにトリノから上流のポー川本流の長さより、南のMaira川や北のDora-Riparia川など周辺の支流の方が明らかに長いようです。
 一般的に合流した複数の川のどれを本流と呼ぶのでしょうか。調べてみると日本では、「合流点より上流側の距離が長い方か、合流点での河床面の低い方が本流」と決められているようです。しかし古代では、ポー渓谷などの上流までの距離の測定は出来なかったでしょうから、勢いがある川を本流としたのでしょう。

 ポー川という名前の由来に何かヒントはないかを調べてみたのです。この川はギリシャ人にはBodencus/Bodincusボディンクス川と呼ばれ、Eridanusエリダノス川神話から付けられた名前、底知れぬ深いベットを意味しているとのことです。またラテン語ではPadusパドゥス川と呼ばれ、豊かで高品質な松の宝庫とのことです。

 確かに数百万年前にはこの川の流域はベニス付近・アドリア海からの奥の長い湾だったのが、地殻隆起と氷河によるアルプスの山を削った岩屑が堆積し、今のポー川の地形になったのですから、豊かな水と木で覆われた巨大な河川敷なのです。
ドイツ上空から南にアルプスを鳥瞰した図
【アルプスの鳥瞰図(北側からイタリアを見る):652kmのポー川はこの窪地を流れる。参照

 そしてこの付近の最高峰はMt.Visoモン・ヴィーソ山(3841m)。その大氷河から直接東に下る本流は短く、山の周囲を回ってきた支流は長いと考えると、古代の人の深い命名の意味も判るような気がします。

 この先の状況が不明なことから、まだ半分以上タンクには残っているのですが、安全のためスタンドに立ち寄りディーゼルを給油。ポー渓谷の岩屑の堆積丘陵地を西へ登って行きます。山に近づくに従い、曇りがちの空からパラパラと雨も落ちてきました、あまり天候は期待できないようです。

ヨーロッパアルプスのハイキング地図
【ヨーロッパ・アルプスのハイキング地図】
  【国別地図】  【日本語ガイド本】
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●クリッソーロの直前で・・


 村の直前と思われる付近で道路閉鎖の標識です。何があったのかと見ると、長いクレーンの車がジャッキアップ(アウトリカー)して固定。その後ろにはコンクリートミキサー車が完全に道をふさいで作業中です。僕たちの後には次々と10台以上の車が並び渋滞です。何人もの運転手がその現場に見物に行きますが、何と作業員が携帯電話とリモコンで操作しているところに割り込んで、状況などを聞いているようで、そののんびりした風景もイタリア人だと思えば理解できます。そして状況が判ったのかUターンして戻っていく車も何台もあります。

 特に急ぐわけではない僕たちも、30分以上も待っているとやはり気になって現場へ行って見ます。谷の下、ポー川べりにある下水管の設備のような大きなボックスの中にいる作業員と、携帯電話で連絡を取りながらリモコンでコンクリートを流し込んでいるのです。
「公共の工事をやっているんだから、誰からも文句なんか無いさ。シーズンオフなので通行するのも地元の車だけさ」という平然としたペースで、のんびりと道路閉鎖です。

Crissolo
【v069e.jpg:クリッソーロ直前で工事・通行止め。車から野次馬が工事現場へ、そして皆が工事監督に】

Crissolo
【d866.jpg:コンクリートを流し込む伸縮するブームを備えたポンプ車が、道を塞ぐ】

Crissolo
【v087h.jpg:こんな風にジャッキアップして道路一杯だと・・あきらめるしかない】

Crissolo
【v075e.jpg:ブームは谷底の下水道設備(?)へ】
 脇を通った後続車の運転手に 「この先のクリッソーロの宿は開いていますか?」 などと英語で声をかけてみます。イタリア語しかわからないこの人と、宿リストを見せての時間つぶしの会話です。
「シナ?」 中国人かと聞かれたのが判ったので、「日本から」と答えても、何のためにこんな田舎に来たんだという反応です。

 乗用車に戻ったり、工事現場に行ったりしているこのおじさんの、遠くから聞こえている会話の声、
「日本からわざわざ旅行で来ているんだから、そろそろ通過させたらどうなのかね・・」のような内容、意外と優しい人も多いんです。3時から延々とやっていた道路閉鎖も4時20分頃やっと終わり、これから村で宿探しに急ぎます。

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●クリッソーロ村の住民は・・


 たった250人ほどしかいないのです。でもスキーや山歩きのシーズン用に数軒の宿があるはずなので走りながら左右を見ますが、それらしい宿は見つからず、すぐに200mほど先の村の外れまで来てしまいました。そこにレストラン兼バー兼の宿「Albergo MonViso旅館モン・ヴィーソ」を見つけました。イタリア語だけしか話せないおばさん、代わって出て来たおじさんと筆談で2食付(ハーフペンション:Mezza Pention=47eur/泊人)で3泊を決め、3階の部屋に荷物を運び上げます。

Crissolo
【v107.jpg:宿のベランダからポー川を見下ろす。右がモン・ヴィソ方面】

Crissolo
【h675.jpg:この付近の歴史的な建物らしい】

Crissolo
【v093.jpg:宿のベランダから見下ろす村風景。左に曲がってモン・ヴィソ方面に登っていく】

 インフォメーションは5時までしかやっていないだろうと、100mほど先の事務所に急いで行ってみますが、照明が消えドアもカギ。オフシーズンだから仕方ありません、明朝来ることにします。

 宿に戻ると、店先のテラスでお茶している2組の夫婦連れは、さきほど一緒に道路閉鎖を付き合った仲間です。スペイン出身だと言うAlbaアルバに住む女の人が英語ができ、6人の雑談が始まります。イタリア人はすぐに話が弾むんですね。

 私の地図をテーブルに開き、「俺はここに住んでいる」、「赤ワインやトリゥフはここが最高だ」と勝手にボールペンでマークする男2人。
 僕たちはここ数年だけ1ヶ月の旅をしているのに、一部しか通じないで「15年も毎年1ヶ月」と勝手に解釈し・・勝手に驚く女の人。
「お前たちの車のナンバーはパリ近くなのでそこに住んでいると思った」・・などと1時間近くも笑い話を続け、これから80kmほどのドライブだと彼らは谷を下って行きました。

Crissolo
【d094e.jpg:ホテル・モンビソは町の一番奥。3階の部屋からは、目の前の巾数mのポー川の流れの轟音が夜中響く。(この写真は最終日に宿を出発時のもの。到着時は小雨模様)】

Crissolo Crissolo
【d095.jpg:ポー川は始まったばかりだが、こんなにも勢いのある流れ。大雨のときは大変だろう】 【d097e.jpg:下流の町中央方面を見る】

Albergo Monviso(☆☆)

Albergo Monviso
・住所など:P.zza Umberto I,153. 12030 Crissolo Italy
・Tel:+ -175-94940。
・E-Mail: albergomonviso@libero.it
地図

私のお勧め度:5.0

イタリアで利用した宿紹介(6)
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●魔女とパスタと・・


 フランスで入手してきた2.5万分の1の地図を宿のおじさんに見せ、トラベルセッテ峠の情報を聞くと、
「片道3時間ほどで、易しいコースだよ。トンネルでフランスにも行けるし・・」などと、かなり簡単に峠にいけそうな話だったのです。

 風呂上り、7時からの夕食は「イタリア万歳」の料理でした。まず出てきたのは一瞬魔女にも見える金髪の眼鏡のおばさん。イタリア語をまくし立て、紙に書いた今日のメニューを説明してくれるのですが、なかなか理解できません。「おまかせ」するしかないのですが、その会話のやり取りが実に楽しい人なのです。

 二日目からはそのメモを脇から読んで発音してみると、
「あらあんた、イタリア語うまいじゃないの」 でも読んでも、その料理がどんなものか判らないので、やっぱり「おまかせ」です。

Crissolo Crissolo
【v151h.jpg:料理の説明をしてくれる元気なおばさん。イタリア語・英語ちょっぴりだが独特の風情があって、65歳だという。左の壁に賞状がある】【d867-9.jpg:初日の夕食:スパゲティはやはり本場がうまい。Dolcetto di Dogliani/Cantina Clavesana 。シンプルなサラダはおいしいし、子牛のステーキいいですね。デザートまで出て2食付1泊1人47eur。ワインがすすみますが、おじさんの太っ腹で50eurしか請求されません】

ヨーロッパアルプスのハイキング地図
【ヨーロッパ・アルプスのハイキング地図】
  【国別地図】  【日本語ガイド本】
 イタリアのパスタはうまいのです。私の日本での昼食は必ず麺なので、イタリア旅行中においしいパスタ類が食べられるのは嬉しいですね。一つ山を越えたフランス側の民宿ではほとんど出てこないし、スイスでも。やはり麺はイタリアにはかないません。

 そして地元ワインのうまさ、しっかりしたステーキ、普段食べないデザートもつい食べてしまいます。
「うまい!おいしい!」の声に、「ここのシニョーラ(マダム)の料理は最高なのよ」と魔女も満足げです。

Crissolo
【v114h.jpg:食事中の窓から、たくさんの白い牛を山に連れて行くような光景が見える。長男(?)が先頭】
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●白牛・パンダ牛・・


 窓辺に座っているので、村の道路の動きが薄暗くなってもよく見えます。40-50頭の白い牛の群れを、川に沿って引き連れ、山に登っていく光景が見えてきました。観光地によっては祭りをする「アルプスへの牛追い」、移牧でもう少し高い山に連れて行くのでしょうか。

 でも良く見るとカウベルを首につけている牛は、3つのグループの先頭にいる1−2頭だけ。ということはまだ放牧ではなく、少しだけ高い場所にある牧場・・金属柵に囲まれた草場・・に引き連れていくのでしょうか。まだ丸々と太って、おっぱいが大きく張っている牛はいないですね。彼らも夏の放牧でたくましくなるのでしょう。

 先頭を歩くのは黒のTシャツに「イタリア」と文字のあるお兄ちゃん、なかなか堂々としています。お父さんが真ん中辺りに居て、時々村人や運転手と挨拶。以前、アオスタのサン・パンタレオン峠付近での牛追いでもそうでしたが、やはりしんがりを杖を持って歩くのが弟。黄色いシャツに長靴、まだ可愛いですね。
 おや、最後の3−4頭はまるでパンダ。目の縁と肩付近が黒いその牛たちは実におとなしそうで、その坊やのお気に入りといった風です。

Crissolo
【v155.jpg:40頭ほどの白い牛の後にはパンダ模様の牛数頭。ほとんどが鈴をつけていない。弟(?)がしんがりに】

Crissolo
【v153e.jpg:毎日おいしい料理を作ってくれる美人マダム(シニョーラ)も、この風景を見に来て楽しそう】

< 関連サイト>

 ○http://www.crissolo.com/【Crissolo観光ガイド】
 ○http://www.ghironda.com/【Valle Po:宿・山小屋・美術など】
 ○http://www.albeisa.org/【Dolcetto di Doglianiワインの産地はアルバの南】
 ○http://www.cooperativaeuro.com/premi.htm【Albergo Monvisoの賞状は】

<イタリア・ワイン/チーズ>

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<関連HOTELなど>

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イタリア・トリノ:
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