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ドッビアーコ分水嶺付近からぼ、ランドロ渓谷とバランチの山系

Val-Landroランドロ渓谷、Sella-di-Dobbiacoドッビアーコ峠(1170m):
 さっきの雨が嘘のように、谷間からトレチメが遠望できます。【●峠のDBへ

 アルプスの大分水嶺の中で、これほど平坦な場所はまず無いでしょう。が「源流域が他国にある」という問題はいつまでも?・・・
[北村 峠一].(eu-alps)      


 土砂降りの雨の中、サン・アンジェロ峠まで戻り・・・北に。Rienzリエンツ川にそってVal-Landroランドロ渓谷を下ります。雨雲の流れは気まぐれ、まして山の反対側に下りてきたので・・・急に空が明けてきました。ランドロ湖を過ぎた付近、緑の原のむこう、V字に切れ込んだ谷の先に、トレチメらしい山が見え、クルマを停めます。

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【e4.jpg:Val-Landroランドロ渓谷のLandro/Durrensee湖の北付近。西の山M.Specie(2307m)】

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【98.jpg:Rienztal渓谷先にトレチメが見える。左はRudo(2607m)など、右M.Piano(2305m)】

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【93.jpg:地点Bから:さてどれに対応?】 【374.jpg:地点Aから:左からPic-La-Kleineピッコラ(小山)(2792m)、Grande-Groseグランデ(大山)(2999m)、
Occide-Le-Westlオッチデンターレ(西山)(2973m)】



【トレチメ周辺地図】 【位置と高さ関係図】
 6km先に見えるのは、たしかにさっき見たトレチメの山なのですが、どれが2999mのグランデ(大山)なのでしょう。

 さっき山の上で見た写真とつき合わせてみると・・・ここ地点Bからは、2973mの西山のほうがはるかに高く見えるのです。6km先の26mの山の高さの差も、見上げる位置と角度でこんな風に見えるので、山の名前を確定するって難しいですね。

 ちなみに今回私が決め手と思ったのは、山の壁面の模様(パターン)。山にも指紋判定とか、バーコードのようなものがあるといいですね。
val-landroからみるトレチメの比較

 結局、B地点からは、左にGrande-Groseグランデ(大山)(2999m)、右に大きいのがOccide-Le-Westlオッチデンターレ(西山)(2973m)、その右の崩れた岩はZinnenチネン-k(尖塔k)(2736m)で、Pic-La-Kleineピッコラ(小山)(2792m)は隠れてしまうんです。
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 ランドロ渓谷は緑一杯の谷、このss51号線は10kmほどでDobbiacoドッピアーコ(イタリア語名)/Toblachトブラッハ(ドイツ語名)の町に入ってきます。突き当たりがss49号線、左はBrunicoブルーニコ方面、右は僕たちが向かうオーストリア方面です。

 (2年前、15kmほど西の、Rasun/Rasenラーサンの村で泊まり、Passo Stalle/Staller Sattel スタッレ/スタラー峠(2052m)に向かいました。あそこの宿は女系4世代、美味しい料理も思い出です)

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【11.jpg:ドッビアーコの町に入ってきた】 【18.jpg:突き当たると左Brunicoブルーニコ、右オーストリア方面】

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【27.jpg:右(東)に曲がる】

 交差点の正面にはホテルが建造中。ここドロミテでシーズンに旅すると宿を見つけるのに苦労するそうです。ヨーロッパ中からこのドロミテの奇岩を見に、そして南チロルの美しさを感じにたくさんの車が押し寄せてきます。民家もプライベートルームを提供したりと稼ぎ時なのです。この地でのホテル経営なんか、みなさんいかがですか?スキーシーズンも良さそうですよ。

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【36.jpg:南にBaranci(2966m)の山系と、今下ってきたランドロ渓谷がくっきりと見える】

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【47.jpg:この付近がSella-di-Dobbiaco/ドッビアーコ峠(1170m)。大分水嶺はこの右のBaranci(2966m)の山系から、左の山の上を通った先で北に向かう】


【国境と大分水嶺map:ここは、大分水嶺と国境がずれている場所】
 峠の標識は見当たりませんが、Sella-di-Dobbiaco/ドッビアーコ峠(1170m)はこの辺です。【●峠のDBへ

 アルプスの大分水嶺は、トレチメの東から、右に見えるBaranci(2966m)の山系、さらにこの付近を通り、左の山の上を東に向かい、オーストリアとの国境に行くのです。西にRienzリエンツ川(アデイジェ川流域で地中海に)、東にDrauドラウ川(ドナウ川流域で黒海に)です。
 なんども書いていますが、「ほとんどの場合、国境と大分水嶺は一致しています」 が、大きくずれている場所のひとつが、この地。この大分水嶺から東に約10km先にオーストリアとの国境があるのです。

 さらにこの峠は、イタリア側(ポー川など)とのアルプスの大分水嶺の中で2番目(*)に高度が低く、なだらかで豊かな緑、利用価値が高いエリアです。昔からの民族移動もここを通ったでしょうし、古代ローマ時代の道もこの峠を通過しています。たくさんの荷が、アルプスを東西に越えて行き来し、宿ができ、市ができ、関所ができ、利益がここに生まれ・・・紛争の地に・・・歴史的にも中立地帯になっておかしくない場所ですね。
(*:Pledilプレディル峠が1156mと一番低いが、かなり険しい地形。Resiaレシア峠もなだらかだが、1504mでイン川の渓谷は険しい)

 今現在、この地がイタリアになっているのは、モンテ・クローチェ・ディ・コメリコ峠のところで書いたように、第一次大戦後のオーストリア・ハプスブルク帝国からの割譲によるもの。南チロル一帯と同時に、この微妙な場所もイタリア側に移ったのです。「南チロル問題」は時間とともに解決していくでしょうが、「ドラウ川の源流域だけが他国にある」という点は、きっといつまでも問題を引きずっていくのではと思うのです。

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【63.jpg:右に行くと、Sestoを経由しM.Croce峠への分岐展。大分水嶺はこの左の山の上にある】 【69.jpg:M.Elmo(Helm/Pijaufer-Kaser)のスキーゲレンデ】

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【79.jpg:右=オーストリア側。こんな合成の写真に興味持つ人いますかね?鉄道屋さん?Sのマークの付く旅客列車は国際列車?・・・鉄道を道路が横断する場所、地図で確認できます。低い山が、川・線路の両側にある】

<SestoドロミテエリアのWebサイト>

 ○http://www.enrosadira.it/altoadige/sesto_sexten.htm【Sesto / Sexten】
 ○http://www.helmbahnen.com/【Monte-Elmo】
 ○http://www.dreizinnenmarathon.com/【Drei Zinnen Alpine Marathon:Sextenから距離12km/21kmの山岳マラソン】
 ○http://www.enrosadira.it/【Enrosadira:】
 ○http://www.dobbiaco.info/【Toblach/Dobbiaco:町の観光ガイド】

 ここが、イタリアとオーストリアの国境。EUの国境は、今ではほとんどの場所で関門の建物が壊されている中、ここだけは珍しく残っています。さらにオーストリア側には大きな集積場が建造中。ユーロ統合から2年ほどたった今でも、国境を越えた価格差などによる利益を当てこんだ、流通センターのようなものを拡大しているのでしょうか?

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【91.jpg:またもひどい雨がやってきた。ここが国境、どうしてここを国境にしたんだろう?なだらかで、右(南)からちょっとした山が始まっている】

 青空だった空がまたも一転、黒い雲に覆われ・・・雨になりました。前回6年前も、ここは大雨でした。


<6年ぶりのカルティッシュ村、ドロミテンホフの宿のおばさんは元気でしょうか・・・>
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