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マンタ城
【f7436:サルッツオ: マンタ城の壁画(15世紀初)】

サルッツオSaluzzo(1/2)

ポー川の源流エリアに一瞬輝いた小国「サルッツオ侯国」と「マンタ城のフレスコ壁画」

イタリア:ピエモンテ州クネオ県】[北村 峠一].(Kitamura)      


●ハンニバルのアルプス越えと、ポー川の源流エリアに一瞬輝いた小国「サルッツォ候国」


 サルッツォSaluzzo候国の首都サルッツォは、2007年の旅で「クリッソーロトラベルセッテ峠に挑戦」の時から気になっていたところ。さらに南3kmにある「マンタ城Castello della Manta」のフレスコ画は、見ごたえがあることも知りました。

 右下の写真でもわかるようにこのサルッツォは、フランス:イタリア国境で有数の高山「モンヴィーゾ山Monviso(3841m)」まで直線で30kmほど。

 その山の右肩にある「トラベルセッテ峠」こそ、紀元前218年にハンニバルと象がアルプスを越え、ローマに攻め入った最有力候補の峠なのです。

 峡谷での戦いと、雪道のアルプスの峠越えでやっとイタリア側に降りてきたカルタゴ軍の規模は、約半数に消耗したとはいえ2万の歩兵、6千の騎兵、17頭の象。ポー川の源流に沿って下ってきた場所は、ここサルッツォ付近の平原だったでしょう。冬期が始まった10月末といわれています。

SaluzzoとMt.Viso
【サルッツオ旧市街とモンヴィーゾ山。右肩にトラヴェルセッテ峠がある(byNet)】
 疲れを取るため3日間の休養をし、同時に軍の体制補強のためガリアの都(トリノ)へ使節を送り同盟を迫ります。拒否されると2週間後に攻め、3日間の戦いで城を壊滅。その後周辺部族と同盟し、ガリア人の傭兵を雇い入れ補給。11月中と12月末、ローマ軍と2回も戦闘し大勝したのです。

 彼らは翌BC217年3月頃までこの平原周辺を拠点にしていたのですから、ハンニバルやカルタゴ兵の血統が、この周辺に残っているかもしれません。DNAなどを使った歴史調査を期待したいところです。

 それから千数百年後、その「トラベルセッテ峠」に、アルプスではじめてトンネルが貫通した(1480年)のです。そのトンネルの必要性を周囲の大国に承認させ、大工事を遂行した小国、それがポー川の源流エリアに、一瞬輝いた小国「サルッツォ候国」でした。

 マンタ城に残されたフレスコ画群などから推測できるように、かなりの経済力と文化を持った国でしたが、結局周辺の大国に侵略・併合され、わずか約400年で歴史上から消えてしまったのです。

−−−

●サルッツォ侯国・侯爵/Marchese di Saluzzo(1175年〜1548年)と周辺の歴史


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【サヴォワ公国に囲まれたサルッツォ侯国】
 フランク王国(ほぼヨーロッパ全域を支配)のカール大帝没後、このフランス:イタリア:スイス国境のアルプスエリアは、中部フランク(ロタール)王国ブルグント王国神聖ローマ帝国の構成国の支配下となっていきます。

・1003(1032)年にまずサヴォイア伯国Savoieが登場。⇒1416年からサヴォイア公国
・1040年にドーフィネDauphineが建国。(-1349年まで)
・1175年にはサルッツォ侯国Saluzzoが建国。
・1291年スイスの原始3州がスイスSwissを建国。(ヴァレー州は1416年、ヴォー州は1536年加盟)

 サルッツォ侯国をもう少し詳しく見ると、
・Manfredoマンフレード1世が1175年に建国。
 右の歴史地図(薄青色)で判るように、隣接し西側以外を囲まれている強国サヴォイアとは以降、衝突を繰り返します。


【ルートヴィヒ II世】
・LudovicoルートヴィヒI世(1416-1475)のとき、神聖ローマ皇帝とフランス王の仲裁など、近隣諸国と良好な関係の政治をして繁栄していました。この時代に★「マンタ城のフレスコ壁画」が描かれました。

・LudovicoルートヴィヒII世(1475-1504)は、賢明な父親と異なり、栄光を求めサヴォイアなどと何度も戦い敗北します。が同時にフランス(ドーフィネ、プロヴァンス)との交易ルート(Vie del sale塩の道)整備のため、★アルプスの歴史上初のトンネルを開通(1480年)させました。しかし財政悪化や後継者争いなども引き起こします。

・Gabrieleガブリエーレ(1537-1548)のとき、フランスに侵略され併合され、国は消滅。
(1601年のリヨン条約でこの地は、フランスからサヴォイアに譲渡された)


<関連するサイト>
<サルッツォ侯国Il Marchese di Saluzzo(1175-1548年)>
http://ja.wikipedia.org/【wiki/サルッツォ侯国】
http://it.wikipedia.org/wiki/Marchesi_di_Saluzzo

<Ludovicoルートヴィヒ I世 :1416-1475>
http://it.wikipedia.org/wiki/Ludovico_I_di_Saluzzo
http://it.wikipedia.org/wiki/Castello_della_Manta

<Ludovicoルートヴィヒ II世:1475-1504>
http://it.wikipedia.org/wiki/Ludovico_II_di_Saluzzo
http://it.wikipedia.org/wiki/Buco_di_Viso


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castello_della_manta
【マンタ城とモンヴィーゾ山。右肩に峠がある(byNet)】

●Castello della Manta(マンタ城)とフレスコ画


・マンタ城は、サルッツォSaluzzoの南3km(トリノの南55km)のMantaマンタの丘の上にある。

・最初の古い建物は1200年に建てられ、1400年侯爵トーマス3世が購入、大邸宅に改造。

城のフレスコ画が有名で、1410〜1430年にMe maestro del Castello della Mantaと呼ばれる無名の壁画師たちが描いた(ゴシック時代の雰囲気の絵)。

・「貴族の間」に描かれたフレスコ壁画のテーマは、「9人の英雄」、「9人の女傑(Valiants)」、「若返りの泉」などである。

9人の英雄は絵の左から、
  Hector of Toroyヘクター、Alessandro Magnoアレキサンダー大王、Giulio Cesareジュリアス・シーザー、Giosueジョシュア、Davideデビッド、Giuda Maccabeoユダス マカベウス、Re Artuアーサー王、Carlo Magnoシャルルマーニュ、Goffredo di Buglioneブイヨンのゴッドフリー。

【9人の英雄(Netから)】

・9人の女傑は絵の左から、
  Deiphile(Diomedesの母)、Amazon Sinopeシノーペ、Hippolytaヒッポリュテー、Semiramisセミラミス、Ethiopiaエチオピア、Lampedo(Amazonsの女王)、Tamyris(スキタイの女王)、Theuca(イリュリアの女王)、Penthesilea(アマゾンの女王)。

【9人の女傑(Net+α)】

 ・若返りの泉/青春の泉(老人が入ると若返るという伝説の泉)。聖母子、はりつけ、洗礼者ヨハネ、同情のキリスト等がある。

若返りの泉 若返りの泉 聖母子
【Fontaine de Jouvences若返りの泉(1420年頃)、聖母子 ・・クリックで拡大】

マンタ城の教会壁画Chiesa Castellana


【受難の物語の壁絵 ・・クリックで拡大】

<関連するサイト>

http://peintures.murales.free.fr/【Manta Castello dei Marchesi di Saluzzo】
http://www.visitfai.it/【貴族のホール壁画】
http://www.visitfai.it/【教会壁画】
http://it.wikipedia.org/【wiki/Castello_della_Manta】
マンタ城(Castello della Manta)

<若返りの泉/青春の泉(1420年頃作)に 類似の絵画>
Fontaine de Jouvences若返りの泉【ルーカス・クラナッハ作「若返りの泉」など】
Allegorical scenes【The Fountain of Youth(1546年作)、The Golden Age(1530年作)、The Silver Age(1530年作)、Allegory of Melancholy(1532年作)の詳細画像】
ルーカス・クラナッハ【Lucas Cranach der Altere(1472-1553年】
ヒエロニムス・ボス【Hieronymus Bosch(1450-1516年)】
『快楽の園The Garden of Earthly Delights』【1490〜1510年頃の作】



<関連書籍・地図>

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<宿・・・>


★Saluzzoサルッツオ周辺の宿

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<サルッツォの旧市街へ・・・>

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