【r368.jpg：Cuorgneクオルニェは中世そのままの雰囲気】

Cuorgneクオルニェ

トリノまで30km、中世の雰囲気の建物が残る町。そしてパルチザン活動の記憶を残すことも。

【イタリア：ピエモンテ州・トリノ県】　 [北村峠一].(Kitamura)

【ニヴォレット峠、クオルニェ付近。クリックで拡大】

　Colle del Nivoletニヴォレット峠からは、同じ道を戻るので順調・快適。

　ところが世界遺産の標識が出てきません、昨年行った「Val Camonicaヴァル・カモニカの岩絵群」の時は、かなり前からUNESCOユネスコのマークの付いた標識がいくつも見えたのですが。

　一番近い町Cuorgneクオルニェに入っても表示が出ないのです。この「ピエモンテとロンバルディアのサクリ・モンティSacri Monti of Piedmont and Lombardy」は、2003年に登録されたばかりの世界遺産で、かつ９箇所にある「聖なる山・巡礼地」のひとつのため、まだ整備が追いつかないのでしょうか。

　または2006年春に行われる冬季オリンピックがトリノで行われるため、世界遺産の誘致は一生懸命になったのですが、釣った魚へ予算までは無いのでしょうか。

　でもこの遺産、「Valperga Canaveseのサクロ・モンテ：Sant di Belmonteサン・ベルモンテ」というのですから隣村の「Valperga」に行けば何とかなるだろう・・と地図を見ながらやっと走ってきた村の中心交差点で車を停めます。近くの建物の１階部分に、山のほうに向かう薄暗い門があり「Via Sant. Belmonte」という小さな標識が見えました。でも車が入れないような感じ。

【Cuorgne,Valperga,Sant.Belmonteの位置関係】

　付近で立ち話しているおばさんに、行き方などを聞きます。なんと、
「サン・ベルモンテには、ここから1時間ほど山道を歩かないと行けない。この村に宿は無く、今来たクオルニェにある」と、世界遺産もがっかりするような話でした。まあ時間も3時過ぎ、クオルニェで泊まり、明日またここに来ればいいや、と引き返します。

　Cuorgneクオルニェの町の中心にある大きな公共駐車場に車を停めると、すぐ南に「ASTORIA」という３☆HOTELが見つかります。「Loge di Italy」というフランスの「Logis-de-Franceロジ・ド・フランス」とそっくりの看板も張ってあり、きっと安いはず。やはり62Eur(≒8千\)/ツイン部屋・朝食つきと割安で、モダンな部屋でした。

●Hotel ASTORIA　３☆
・住所:Piazza Martiri della Liberta - 10082 Cuorgne
・「Loge di Italy」加盟
・2005.9.13：１泊利用
・B&B：ツイン部屋・朝食つき/2人＝62Eur(≒8千\)
○http://www.astoria-damauro.it/【CuorgneのHotel Astoria：泊まった宿】
・(Astoreはオオタカの意味) cuorgne-hotel-astoria

私のお勧め度： 【●イタリアで利用した宿】

　近くのスーパーで食料を求め、ポン・サン・マルタンから持ってきた安ワインで部屋食。このホテルの内庭に面する窓からは、向かいのアパートの素朴な生活がすべて見え、この町が好きになります。７時頃、町へ散策に出ますが、例年の6-7月の旅とは違い、今年は9月半ば、少し暗くなりはじめた時間です。

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　駐車場を通り、西にある旧市街に入っていきます。Arduinoアルドゥイーノ通りは14世紀の建物もあるという中世のたたずまい。最近ではどこの町に行っても古い建物を手入れし、化粧した建物しかないところが多いのですが、この旧市街は古いままの良さも感じられます。Canaveseカナヴェーゼというこの付近のエリアの中でも、有数の歴史ある町なのだそうです。

　建物の下のアーケードは、夕暮れ時もありさらに薄暗い、ちょっと怖い通りです。この町には１万人ほどが住んでいるとのことですが、トリノにも30kmほどしか離れていないことや、大きな企業も見えませんでしたから、ベットタウンになっているのでしょう。世界遺産の情報ばかりか、冬季オリンピックのポスターすら見えない、外部からの時間を閉ざされたような旧市街です。

cuorgne

【r371.jpg：Arduino通りのPorticoアーケード：柱廊の赤白のデザインは中世を思わせる】

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【r369.jpg：Porticoアーケード柱廊】

　突き当たりのAzzario広場から町の北に向かう階段に行ってみると、まるで昔の城壁を思わせるような古い外壁で囲まれ、見下ろす民家の赤いレンガや石葺きの屋根もまた素朴な旅情です。

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【r372/r373.jpg：Azzario広場から北の方角を眺める。赤いレンガと石葺きの屋根、石とレンガで造った塀】

　とある広場に面した建物の壁に、ピカソの「ゲルニカ」を模写した大きな絵が壁に張ってありました。ネットで調べてみると「第2次世界大戦時のパルチザンによるレジスタンス運動を忘れないために、Cuorgnの小学校5年生のクラスの子供たちが描いた」ものだとありました。ムッソリーニが失脚した後も、イタリア北部はドイツ軍の管轄におかれ、アオスタでも石碑がありましたが、パルチザン闘争がいつまでも続いていたのです。孫、ひ孫の時代になってもその話を埋もれさせない気持ちが、この町には強いのでしょう。

Guernicaゲルニカ

パブロ・ピカソ（Pablo Picasso, 1881年10月25日-1973年4月8日）スペインの画家

1937年、スペイン市民戦争でナチス・ドイツがゲルニカ(スペイン・ビルバオの東)に対し行った空爆に抗議するため、『Guernicaゲルニカ』を発表する。縦3.5m、横7.8m。
ピカソの作品は色彩豊かなものが多いが、『ゲルニカ』はモノトーンで描かれている。死んだ子を抱き泣き叫ぶ母親、天に救いを求める人、狂ったようにいななく馬、などが戦争の悲惨さを訴えている。
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【r374.jpg：ピカソ「ゲルニカ」の絵が壁に張ってある。2m*4mほどもあるだろうか】

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【r375.jpg：Piazza-Pinelliピネリ広場付近】　　【旧市街の地図、Hの個所が泊まったHOTEL・ASTORIA】

　上の写真(r375.jpg)と同じ建物のポストカードが、Googleの画像検索で出てきました。なんだろうと翻訳ソフトを使いながら読んでみると・・冒険物語・小説の作家「エミリオ・サルガーリ」がかつてこの部屋に住んでいた・・という愛好家のサイトでした。

●Emilio Salgariエミリオ・サルガーリ (1862.8.21-1911.4.25)

　古いポストカードにある上の写真と同一の建物は、 http://www.emiliosalgari.it/albumphoto/albumfotografico.htmのサイトのもので、「Emilio Salgari」とその家族は、トリノを出た後このCuorgneのPiazza-Pinelliピネリ公共広場に面する、矢印の部屋に住んでいて、その後Alpette村に移ったとあります。

　彼はイタリアの空想科学小説、冒険・開拓などの作家で、海軍役人をやめた後200以上の冒険物語・小説を書いたとのこと。
　・『Cartaginein Fiammeカルタゴ炎上』(1908年：清水三郎治訳黒い海賊」など
　・海賊映画『Il Corsaro Nero』1976年、イタリア映画の原作者でもある
　・Amazonで検索：冒険物語のエミリオ・サルガーリの本
　○http://www.emiliosalgari.it/【Emilio-Salgariのサイト：音あり】
　○http://www.comunealpette.it/【Alpette村のサイト】

＜Cuorgneクオルニェ付近のサイト＞

　○http://www.montagnapiemonte.it/【Cuorgne周辺の文化遺産：塔や橋など】
　○http://www.comune.cuorgne.to.it/【Cuorgne】
　○http://www.itinerari-piemonte.it/【Cuorgne】
　○http://www.astoria-damauro.it/【CuorgneのHotel Astoria：泊まった宿】
　○http://www.corsac.org/【Cuorgne、Canavese地域の歴史】
　○http://www.anpicanavese.it/【Cuorgne:A.N.P.Iファシストへの抵抗の歴史など】
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