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Agnel峠はもうすぐ

Pierre-Grosseピエールグロス/Fontgillardeフォンジラルド村を経て ・・・アニュエル峠に向かって

ハンニバルの進軍状況  一年のうち5ヶ月も雪に埋もれる日時計の村を抜け。峠への眺めのいい道をサイクリストは行きます。
 ・・・が、2200年前の雪の中の、けが人も多い、疲れきった数万の行軍は・・・ノロノロと下を向いて・・・?
フランス:(05)オート・アルプ県】 [北村 峠一].(Kitamura)     

 Molines-en-Queyrasモリーヌ・アン・ケーラスで別れた、ゆるやかな傾斜の道は、1kmほどでPierre-Grosseピエール・グロス村に、さらに2kmほどでFontgillardeフォンジラルド村に入ります。

 朝の時間帯、村の道では、牛を牧場に連れて行く場面に時々出会います。牛は大きいので、まじかに来るとちょっと怖いのですが、まず人や車に向かってくることはありません。牧童がいる場合でもいないときでも。・・・でも機嫌が悪く、あの角で・・・大丈夫かな?・・・と心配して・・・牛が通り過ぎるのを待ちます。

 この村、南フランスの日時計街道として、サンヴェランとともに紹介されている寒村でした。この付近の日時計は、1830-1870年代の作品が多いとのこと。最近でこそ機械の時計が教会の塔にあったり、腕時計などでわかりますが、以前は教会の塔の日時計や、砂・水の時計などをもとに鐘を鳴らし、村人に時間を知らせていたのでしょう。

 このサン・ヴェラン付近、一年のうち5ヶ月は雪に埋もれ、年300日は晴れるとのこと。昔からの日時計をたどるゆっくりした旅もいいでしょうね。いずれかの日にまた来たいものです。


【06.jpg:フォンジラルド村で牛の移動に出会いました】


【13.jpg:牧童が牛のうしろから・・・木の十字架が教会の前に】

 
【28/32.jpg:村の道は狭い】

−−−

 ●Teh-Mountain-Site http://www.geocities.com/yosemite/gorge/2922/
  のサイトに、峠への勾配グラフがあります。
   Iseran イズラン峠(2770m) ・・・France:Alps(C)
   Stelvioステルビオ峠(2754m)・・・Italy
   Agnelアニュエル峠(2744m) ・・・France:Alps(S)
  皆さんも是非調べて・・・自転車でTRYして(?)みてください。

 村から峠までは11km、ゆるい傾斜のAigue川の谷は、ほぼ真正面にAgnelアニュエル峠の雪渓が。右に3000mクラスのもろそうな岩肌の山が続きます。

 女性のサイクリストが登って行きます。このAgnelアニュエル峠(2744m)は、Iseran イズラン峠(2770m)、Stelvioステルビオ峠(2754m)についで第3位の高さがあり、かつ比較的なだらかな勾配で頂上に到達できるので、女性サイクリストには人気があるのかも知れません。

  
【46/43/59.jpg:Aigue川の谷の正面はアニュエル峠の雪渓が見え、サイクリストも軽快に走っていく】


−−−
 この山腹のゆったりした絵のようなカーブ道で、マーモットの死骸にたくさん出会います。彼等の動きは遅く、さらに朝にこれだけの死骸を見るのは、きっと夜間のライトに照らされ、そしてそのビームから外れた瞬間に走り出す(夜間のネコのような動き)のではないでしょうか。

 動物注意の標識をしても効果はなさそうです。道路の下にトンネルを掘るのも経費がかかるし・・・弱肉強食とあきらめてしまうのも・・・この際、マーモットを教育することも考えましょうか??

 
【86.jpg:】 【88.jpg:】

−−−
 峠の直前に数万人のキャンプ地があるか否か・・・・これが「ハンニバルが越えた峠」の争点になっています(*下段参照)。この峠の少し手前には、こんなに広い大きな平地があります。この少し下が森林限界でしょうか。

 そしてあの低いところの向こうはイタリアです。(2200年前、ガイドのいないハンニバル軍には、その先がイタリアかどうかはわからなかったでしょう。さらに10月も終わりで、一面雪。そろそろ根雪にすらなろうとする季節でした。)

【a5.jpg:広いカールの谷を峠に近づく。森林限界を超えて・・・大きな木はすでに見えない場所です・・・】


【c7.jpg:正面に尖った山:Le-Pain-De-Sucre(3214m)と、右にPic-De-Caramantran(3026m)の西斜面の残雪が大きく見えてくる。】


【127.jpg:Agnelの避難小屋(ナポレオン小屋)を過ぎ・・・ジグザグ道を登り・・・】


【150.jpg:6月21日:まだ多量に残る雪渓の道を行くと・・・】


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Elephants

●ハンニバルと象が「フォンジラルド村」(推定)を進軍した状況など

 −− ポリビオス(BC200-BC118)の記述による。「」は推定の地名 −−
 ●前のポイント「St-Veran2」← 【●ハンニバルの有力推定ルート】 →●次のポイント「Agnel峠-1」





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<ここまでの経緯>
 約4カ月半前 スペインを出たカルタゴの軍は、「ケーラス」渓谷で崖の上から岩による大襲撃を受け、歩兵6千、騎兵7百、象6頭と多大の死者・けが人を出しこの地に到着(紀元前218年10月18日夜)。気温が下がり、時には雪もよう。

<この地のハンニバル軍>
 「ケーラス」渓谷で地元部族の大きな襲撃に対し、ハンニバルは反撃をせず先を急いだ。一刻も早く、雪と氷で閉ざされる冬のアルプスの峠を越え、イタリア・ローマに向かおうとしたためである。

 ガイドが居ないハンニバルは、全軍に集結、休養、再編成の指示をする。その間に偵察隊をこの先の山に向ける。

●●
 帰ってきた偵察隊はハンニバルに、以下の報告をする。
 この先の山の右側に峠があり、そのむこうはイタリアのようであること。
 その峠の頂上はすでに雪がかぶり、その峠のむこうはものすごく急な斜面で危険であること・・・・

ハンニバルは雪の峠越えに対しての対策を考える。その結果
 この付近で2日間留まり、十分な休養をとる。
 その間にさらに先への偵察隊を派遣。
 象・荷車を含む軍のため、山道を切り開くための工作隊を順次先に行かせること。・・・など

 19日と20日、前方の道路工作隊から、「アニュエル」峠のイタリア側の斜面はあまりにも厳しいこと。傾斜、雪、岩などの条件があまりにも悪く、強靭な兵士のみでも大変なのに、象・荷車を含む全軍を通過させることは無理との報告があった。

 一方、ここ2日ほど、山道の工作のため休養している各隊からも、体力を回復させるための食糧が、先の2回の奇襲で底をついたこと。10月末で時々雪となり、朝夕は特に水も凍る寒さをしのぐための、テント・衣類などを失っている。死んだり役の立たない馬などを食べ空腹・飢餓をしのいでいるが、一刻も早くの措置判断を仰いできた。

 さらには、負傷者、弱者の衰弱ばかりか、軍の傭兵などの士気も衰え、このままではハンニバルに敵対し、離反しかねない状況の報告も来ていた。

 ・・・・・
●●
 10月21日早朝:ハンニバルは、軍の最前線のイタリア国境の「アニュエル」峠の頂上付近に、全部隊の指揮官を集結する。

 午後、ハンニバルの元に集まり、次の指示を聞いた部隊長が帰ってきて・・・翌早朝の出発を告げた。
 もう峠の下はイタリアだ。・・・敵、ローマもわれわれの手中だ・・・と。

 アルプスの登り道から11日目。イタリア国境の峠越えまで残り4日。

軍の規模は、歩兵2万9千、騎兵6千9百、象20頭。



●●●
 峠の直前に数万人のキャンプ地があるか否か・・・・これが「ハンニバルが越えた峠」の争点になっています。
『峠に到達し、ほぼ2日間そこにキャンプを張った』との記述から来ているのです。
 この平地が地図上で見つからないことから、トラヴェルセッテ峠「ギャヴィン・デ・ビーア氏」の説は不利だったのです。(結局その平地もあることを「ジョン・プレヴァス氏」は説明していますが)

 が、その一同に集まる必要性については、私は疑問に思っています。先発の斥候、軍の工作隊が道を作り、行軍を指示するまでの間、数万人の軍が一同に集まる必要性はないのです。雪の寒さをしのぐための薪を近隣の山から切り出し、火を焚き、炊事をし、テントを張っての休息は・・・多分数kmにおよぶ縦長のキャンプ地が必要で。一箇所に大集合しなければならないわけでは?。さらに大量に燃やすべき木が、そのような高い位置にはないのです・・・。

 ●前のポイント「St-Veran2」← 【●ハンニバルの有力推定ルート】 →●次のポイント「Agnel峠-1」
・・・皆さんの想定、推測情報などありましたらお願いしますハンニバル応援

参考資料:
 この記載情報はポリビオス(BC200-118)の記述による。これをもとにルートを推定・解説している本は以下のものである。
 ・Gavin de Beerギャヴィン・デ・ビーア 『ALPS and ELEPHANTSハンニバルの象』時任生子訳:博品社(G-page)
 ・John Prevasジョン・プレヴァス『HANNIBAL CROSSES THE ALPS ハンニバル アルプス越えの謎を解く』村上温夫訳:白水社(J-page)
 ・Hans Baumannハンス・バウマン『ハンニバルの象つかい』大塚勇三訳:岩波書房:(H-page)
 ・The Green Guide:『French Alps』2001 Michelin:(M-page)
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<付近のWebサイトなど>
Col Agnel, Molines-en-Queyras, France付近のホテル検索
モリーンヌ=アン=クイラ Molines-en-Queyras付近のホテル検索

<アニュエル峠の頂上はもうすぐです・・・・・>
●ご意見・お問い合わせ・情報・何でも・・・「峠の茶屋・掲示板」でお待ちしています。
EU-ALPS.com
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