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【1d81.jpg:コッリオの村を東の高台から見る】

Collioコッリオ -3

この宿・村の人たちの一人一人の顔としぐさ・・
今でも目に浮かびます、驚きと・・感謝で・・

ロンバルディア州ブレシア県
   [北村 峠一].(Kitamura)      


 このコッリオ村は、夏の3〜4ヶ月以外は北の峠道が閉ざされ、トロンピア渓谷の突き当たりになる地。そのためか出会った人たちからの感じは、落ち武者の雰囲気、一人一人に思い出が残る村でした。今でもこの二日間滞在したひとコマ・ひとコマの時間が目に浮かびます。

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【1d06.jpg:コッリオの村役場から見るホテル・マニヴァ】
【2d97.jpg:二つ星が、救急バンソウコウでひとつ星に。マスターも公認?】
 なんといっても「ALBERGO RISTORANTE MANIVA ホテル・レストラン・マニヴァ」の家族のこと。

 まず最初がおじいさん。老けて見えますが、結構若そうな動きをするので60歳半ばでしょうか。昼間はいつも店前のテラスに座り、村の中心通りを行きかう人たちを眺めています。時々村の老人が立ち寄り話をしていきますが、それ以外にやることは夜9時にこのテラスの椅子をテーブルの上に裏返すことだけ。それでもまだ飲む客はバーに移るのです。

 このおじいさんの後ろの壁に、例の救急バンソウコウで消された「1つ☆のホテルマーク」があり、自他共に納得なのでしょう。役場でもらった村の地図には、他のバーやホテル、ちいさな雑貨屋すら広告を載せているのに、「Bar Restorante MANIVA」この村の入口という一番の立地のホテルは、その広告を載せていないのです。おじいさんが若い頃の店は羽振りが良かったはずなのですが、どんなことがあったのでしょう。

 つぎが60歳過ぎの気の強そうな、やり手(?)のおばあさん。痩せたおじいさんのようにも見える体型、浅黒い顔、目つき。あごには例の5cmほどのウェーブした1本の白髭。そのキビキビした動作は家族の誰にも遺伝していません。

 あの2人の男たちを僕たちの席に偵察に来させたのも、多分このおばあさんでしょう。言葉も通じない胡散臭い東洋人、2泊も何をしに来たのかをチェックするためだったのです。でもおかげで峠道が通過できるとの情報が得られ、大感謝なのですが。

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【1d92.jpg:宿のマダム。
品はいいが、おっとり
しすぎ?】
 こんなにこわもてのおばあさんも、村のよちよち歩きの赤ん坊がテラスに散歩に来ると、あわてて奥から菓子を取ってきて渡そうとするのです。でも赤ん坊の母親に断られ、ちょっとバツの悪そうな顔に変わったのは大発見でした。こんなおせっかいを言っても何ですが、小太りのマダムに向かっての嫁いじめのガミガミは、もうちょっと減らして欲しかったですね。

 一方マダムは太って色白、品はいいがおっとりして超スロー、40歳半ばでしょう。おばあさんに一方的に言われているように見えますが、全然動じません。動きを見ていると料理なども同時に2つは運ばず、結果として「ハーハー」と息を切らし疲れきるのです。朝食が9時からと遅いのも、このマダムがやっと起きられる時間だからです。そして毎朝、隣の厨房でおばあさんに一方的に言われる声が壁越しに聞こえてきます。そんな風に長年料理を作ってきたのです。


 メニューのないレストランでの注文も、2日目は互いに慣れたせいか料理名が聞き取れ、スープ(ズッパ)、ポモドーロ、ポーク、ターキーなどをスムーズに注文でき、「イタリア語できるじゃないの」とこのマダムに言われたのです。

collio 【2dd2.jpg:2日目の夕食はポークとターキー】
 ご主人は見かけませんでした。家計を支えるため出稼ぎに出ているのかもしれませんし、余計な心配ですが家族との折り合いが悪く・・・?

 最初この家のコックは娘がしているのだろうと思った25歳くらいの子、宿を決めるときに出てきた娘。白衣に料理のシミがあったのでこの宿で働いているのかと思いましたが、店の中では気配すらしません。2日目に女友達と村の中を散歩しているのを見たので、パン屋か肉屋に仕事に出ているのかもしれません。

<Collio村の宿>


○ALBERGO RISTORANTE MANIVA
: Piazza Zanardelli 41,Collio (Brescia) : Tel. 030 927642【ここが泊まった宿です】

http://www.secerchitrovi.com/
【気が付かなかったが12もの宿がありました。Bondegno集落や峠への道に点在しているようです】
 最後に息子、16-7歳の高校生。親に似て太ってかなり遊びほうけているように見えます。バイク仲間が数人、夕方愛車を連ねて店先に遊びにきていました。出発の朝、おばあさんと大声でやりあう声が聞こえます。友人に電話する声、そしてレジを勝手に開け小銭をくすねるような音、そしてまたもやりあう声。わがままに育てられたおばあさん子の、今まさに青春の時代。小遣いをいかに多く確保するかが、彼の家族への交渉事でしたね。

 この宿の泊まり客は、たった2人の長期滞在の老人でした。

 ワイン、水、パン、フルーツ、ナプキンが彼ら専用の机の隅に置いてあり、マダムのペースに惑わされず自分のエリアとしてここを使っているのです。二人とも60歳後半ですが、一人は元・役付きのサラリーマン風? 隣の席なのですがちょっとシャイなのかうつむき加減、チック症の波動が静まりかえるレストランの中に広がります。夕方の散歩にも背広、ネクタイにサンダル履きと、村人とは釣り合わない風情でした。
 もう一人は3つほど離れた席から、毎回会釈をする人懐っこい老人。チャンスを逸しましたが、話し出すときっと面白い方でしょう。本を持って外出する姿はもしかすると作家なのかもしれません。

collio 【2dc4.jpg:中心の教会の立派な天井画】
コッリオ村・中心付近地図  朝夕同席したこの客と、部屋の引き出しにあった「ゴムの水枕、尿瓶」、前にも書いたシャワーや便器の配置・手入れ具合などを考えると、この宿は老後の住処(すみか)として成り立っているのだろうと想像します。

土産屋にあった、日本人が描かれた壷  村に10軒ほどある商店は分業で成り立っています。八百屋、パン屋、肉屋、喫茶、アイス屋、ホテル、バー、土産屋・・・・・・決して他の店にある品物は置いてはいけません、村の秩序を乱すからです。

 そしてその商店で働いているのは女の人だけ。男たち(若者は見えない)はまだ明るいうちから、テラスの一角でちびりちびりと飲みだし、夜遅くまでそこで頑張るのです。店のほうも対抗上9時には椅子を裏返し、やっとその後バーでお金を払ってお開き。昼間でも男が働いている姿は余り見ませんでした。働き盛りの男は車で2時間ほどもかかるブレシアの町に通勤するか、都会に出稼ぎなのでしょう。

 なんとも時間がゆっくりと回る村、特に夏の日の暮れない夕方5時から8時は、村の通りをたくさんの人が散歩し、互いに「ボナセラ」と言いあいながらすれ違うのが、その時間の過ごし方なのです。

 僕たちが泊まった部屋の向かいにある「Frutta & Verdura:果物・八百屋」には、黒い服がよく似合う娘さんがいて、最初に部屋に入り窓を開けたときから毎回、目が合い挨拶しました。あの2階の花で飾られた窓の奥、早朝シャンデリアのような電灯の下で一緒に食事をしていたのが、同居しているご両親でしょう。

 彼女の行動を見ていると、愛嬌が良く実によく働くのです。朝7時過ぎの開店から夕方8時頃まで、彼女目当て(?)に次々と男のお客さんが来て、裏の建物の倉庫から頻繁に商品を補充しなければならないほどよく売れるのです。それに安いのです。僕たちがおやつのために買った「チェリー600g、杏20個、キュウイ4個、バナナ2本」がたった8.33Eur(≒1000\)でしたから、新鮮と安さも人気なのでしょうが、なんといってもあの黒に包まれた魅力、思いを寄せる人も多そうです。

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【2d95.jpg:宿の部屋の向かいにある果物屋「Frutta」】 【2d96.jpg:この果物屋の娘さん目当てに、次々とお客さんが来る】

<Collioコッリオ関連のWebサイト>

http://www.bresciainvetrina.it/bresciaturismo/valtrompia_collio.htm【地形や村の】
collioコッリオ出身の水泳選手Paolo Bossiniの応援横断幕http://www.valletrompia.it/or4/or?uid=esy.main.index&oid=24447【地質や、人口が減っていった話など】
コッリオ出身の水泳選手Paolo Bossiniパオロ・ボッシーニ選手のこと 【旅の後、8月18日アテネオリンピック200m平泳ぎで彼は4位になった。優勝はあの北島康介選手だったからTVにはBossini選手も映っていたのだろう】

<2泊したコッリオ村、ホテル・Manivaの宿ともお別れの朝、地元TVは例の「山岳道路」と、北にある「世界遺産・カモニカ渓谷の岩石画」の映像を流していました。雪解けの山も綺麗そうで峠道は楽しみです。
 宿代の清算時、あのおっとりマダムはさんざ考えた後、40Eur/人日だけを請求し、その他のワイン(1リットル2本)、ミネラル水(1.5リットル2本)、ジェラート4個などを全部無料にしてくれました。実は太っ腹マダムでもあったのです。
 おばあさんも花仕事の最中、土で汚れた手での別れの握手ができず、腕を触ってさよならです。
 今でもこの宿の家族一人一人の顔としぐさが、目の前に浮かびます。たくさんの思い出のシーンを土産に、道路閉鎖の山岳道路に向かいます・・・>

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