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Burglenビュルグレン村:民族衣装の人たち
【h112.jpg:Bürglenビュルグレン村:民族衣装の人たち】

Bürglenビュルグレン村

ウイリアム・テルの生まれ育った村で・・

スイス:ウーリ州】[北村 峠一].(Kitamura)      

●ウィリアムテルの家(?)に泊まる・・
  Bürglenビュルグレン村で決めた宿・・


 アルトドルフのインフォで貰った情報の中から、数年前、クラウゼン峠から降りてきたときに通過し、ちょっと良い雰囲気だったウイリアム・テルの村、ビュルグレンで宿を探すことにしました。

 最初に目指した『Brugg』は6/29まで休みという張り紙。次の『Tell』の宿のおばさんは、宿代は一人90Chf(約9千円)と、インフォメーションで貰った価格表に書いてある額(45Chf)の倍の価格をふっ掛けてきました。

 実は以降の5日間、毎日その宿を見下ろしていたのですが、泊り客は1−2名でしたから、きっと見知らぬ東洋人を泊めたくなかったのでしょう。

ビュルグレン村
【d435.jpg:ガストハス・アドラーは1574年建造。東にTell-Museum(1966年)が隣接】

ビュルグレン村
【d492.jpg:宿の内装はすべて木】

ビュルグレン村
【d399.jpg:ビュルグレンの教会。鐘楼は部屋から20m。】

 ・クリックでビュルグレンの教会鐘楼壁画(聖クリストフォルス)拡大  
 ・各地のSt.Christopher聖クリストフォルスの壁絵 

Burglen村map
【ビュルグレン村地図:H=ホテル・アドラー、M=テル博物館、+=教会と礼拝堂、S=小学校】


 最初はそこが宿とは気がつかなかったのですが、ふっかけられた宿の道路の反対側の古い建物もガストホフ、『Gasthaus Adlerガストハス・アドラー』と壁に書いてありました。

Gasthaus Adlerガストハス・アドラー
【ガストハス・アドラーは1574年建造】


 立寄ってみます。おっとりとした感じのマスターはなんと、価格表には45Chfと書いてあるのに、朝食つき一人40Chf(約4千円)でいいとの回答なのです。部屋を見せてもらい天井が低く、床が鳴り、風呂・トイレは共用だったのですが、すぐに決めたのです。でも日本からのツアーのお客さんなら、この条件では絶対断るでしょうね。

 この部屋からの眺めを観てください。教会の塔が見え、その先にサン・ゴッタルト峠から流れるReussリューズ川の作る渓谷、さらに西に3000mクラスのアルプスの山並みが独り占めできる絶景です。

 この後、買い物がてらの散歩で立寄ったスポーツ店の店長は、
「俺はあのアドラーで生まれたんだ」と自慢げでした。たしかにこの古い建物ガストハス・ガドラーには、1574年建造の看板が誇らしげにかけてありました。

 430年以上前の宗教改革の時代といえば、日本では川中島の戦い、ポルトガル船の長崎来航、秀吉の統一などがあった頃ですから、当然建替えや補修はされているでしょうが、素晴らしい宿にめぐり会えたものです。

 
【h161.jpg:西に見えるアルプスの山々を拡大する】


−−−

●電気クッカーで醤油料理はご法度・・
  部屋食はいいものですが・・


 毎朝食は階下のバーも兼ねている部屋で、おいしいハム2種とチーズ、パン、コーヒー。マスターや、早くからコーヒーを飲みに来る客に、峠への道順なども教えてもらえたのです。

旅行用のクッカー  そして夕食はこの素晴らしい夕暮れの景色を、部屋の窓越しに見ながら、村のスーパーで買ったスイスワイン、パン、ハム、チーズ、缶詰などの部屋食が5日続いたのです。ある日、日本と同じ白菜を見つけ、塩でもみ、持参した醤油をかけて日本風に食べてみましたが、やはりここでは美味しくありません。塩コショウで食べたほうが合うのです。

 電気クッカーは旅道具の優れもの。湯を沸かしてスープ、コーヒー。ジャガイモ・にんじん・ハム・卵なども、焼いたり炒めたり煮たりのちょっとした料理が手軽に出来るのです・・すべて妻の腕ですが。

 ただし匂いには注意です。ある日ヌードルスープのカレーの匂いが、部屋中に広がって気になり、あわてて窓を全開にしました。

 数年前、醤油やカツオブシなどで肉じゃがを作ったときのあの魚醤の匂いは、旅行中には嗅いだことのない匂い。日本では気にならないのに、ここヨーロッパの山の中では存在しない匂い。それが階下にまで広がっているのに気づいたときは、真っ青でしたから。もし「たくわん漬け」を旅に持ってきたら、どんな体験をするのでしょうか、一回勇気を持って実験してみたいですね。


●Wilhelm Tellウイリアム・テルの物語と、スイス建国・・


・1291年8月1日:ウリ 、シュヴィーツ、ウンターヴァルテンの原初3州が、リュトリの牧草地で永久同盟と、ハプスブルクからの独立の誓いを立てた。(事実)
リュトリの牧草地
【h071.jpg:Rutliリュトリの牧草地】

アルトドルフ:ウイリアム・テル像(1805) ・1307年11月18日:テルは、ハプスブルクの悪代官ゲスラーの帽子にお辞儀をしなかったかどで捕らえられ、我が子の頭に乗せた林檎を撃ち抜く。
 にもかかわらず、代官を狙う2本目の矢を持っていると逮捕された。(物語)

・しかしウリ湖で脱出し、悪代官を射殺した。(物語)
Tells-Kapelle
【h171.jpg:Tells-Kapelle:2000.6.30

・このスイス建国の原動力となった英雄物語の人物は、実在しなかったらしい。
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ウイリアム・テルの人物と歴史【swissinfo】
http://ja.wikipedia.org/【ウイリアム・テル】
http://www.tell.ch/【テルの歴史情報・写真】
オペラ『ヴィルヘルム・テル』【フリードリヒ・シラーの詩をロッシーニが戯曲化(1829年初演):ウイリアムテル序曲第4部「スイス独立軍の行進」MIDI
詩人シラーのオベリスク
【h188.jpg:Rutoli:原初3州が献じたSchillerstein:詩人シラーのオベリスク】

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<テルの記念物:紹介サイト、場所>
http://www.tell.ch/pic/swiss/page_01.htm
Legend of Wilhelm Tell Switzerland
●Tell-Denkmal in Altdorf (UR)アルトドルフのテルの記念碑:スイスの彫刻家、 Richard Kislingリチャードキスリング(1895作成)
●Tell-Denkmal in Burgeln (UR)ビュルグレンのテルの記念碑
●Tellskapelle bei der Tellsplatte_Tells Sprungウリ湖にあるテル礼拝堂の壁画
●Tellskapelle bei Tellsplatten_Apfelschussウリ湖にあるテル礼拝堂の壁画

●Tell-Spielhaus in Altdorfアルトドルフのテル演劇場
●Tell-Musem Burgeln(UR) im Wattigwilerturmビュルグレンのテル博物館
●Tell-Kapelle in Burgeln (UR) - Standort des Wohnhauses von Tellビュルグレンのテル礼拝堂

 
【d432.jpg:Tell史跡場所】


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●スイスの歴史に、テルは必要人物・・


 この宿を基点に5日間、周辺の峠を回ると同時に、テルの物語に関連するところにも足を伸ばしました。

 原初3州が、永久同盟の誓いを立てたリュトリ付近のハイキング。テルが息子の頭上の林檎を弓で射ったアルトドルフ。テル逮捕後、ルツェルン湖で彼が逃れたTellsplatteのTells Kapelle。詩人シラーのオベリスク、など。

 そして毎日、架空の人物ウイリアム・テルが生まれ育ったビュルグレンの村の、大きな教会、礼拝堂、テル父子の碑、テルの井戸などを見下ろしているうちに、物語が私の頭の中で本当にあったことに変わって来たのです。

 村に住む猟師で弓矢の達人テル・・、妻エドヴィージュと堅実な家族を築いて・・、まだ幼い息子ジェミニと、アルトドルフに行き、帽子にお辞儀をしないと・・、頭の上に載せた林檎を・・
 すべて本当にあった事だったのかもしれません。

 真夜中、道路を挟んだ20mほどのところにある教会の鐘が、15分間隔で小さく2つ鳴り、正時にはその数を打ち、朝5時半と7時にはすさまじいメロディーを鳴らす。あの頭の芯への習慣的な刺激・・若干、熟睡した感じがない、ボーとした頭が、余計そんなことを感じさせたのでしょうか。

ビュルグレン村
【h059.jpg:テル父子の碑とTell-Brunnenテルの井戸(1786年)。記念撮影する親子】

ビュルグレン村 ビュルグレン村
d431.jpg:Tellskapelle(1582年):クリックで拡大 d434.jpg:内部の壁画:クリックで拡大】【●アルプスの壁絵

 
【h083.jpg:Tell-Brunnenテルの井戸は、急坂を登って来たサイクリストの疲れを癒す】

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●村のパレードは晴れやかに・・
  あれがうちの息子・・



ビュルグレン村のパレード
【h113.jpg:老人たちが見守る】

ビュルグレン村のパレード
【h117.jpg:民族衣装の人たち】
 日曜日、Pragel-Passプラゲル峠を経て、黒マリアのEinsiedelnアインジーデルン教会から帰ってきて、宿のテラスでビールを飲んでいると、旗を持った青年や、月桂樹を持った子供たちが下の教会の駐車場に集まって行きます。

 宿のおばさんに聞くと6時から村のパレードがあるとのこと。早速撮影に出かけ、おなじように撮影している隣の方に聞きます。
「これは7年毎の村のイベント。活躍した人たちを表彰するんだ」
「あの月桂樹の人は、スイスのローカルなスポーツ(ちから自慢:投てきなど)のチャンピオン。うちの10歳の息子のグループは大会で2位の記録・・あそこの3番目に並んで居るのが・・」

 そのパレードは村の学校まで行進し、表彰式が行われます。民族衣装のおじいさん、おばあさん、そしてたくさんの家族の人たちが、晴れやかな子供や孫を祝ったのです。

ビュルグレン村のパレード
【h110.jpg:7年毎のビュルグレン村のパレード。月桂樹の人は、スイス・ローカルスポーツのチャンピオン】

ビュルグレン村のパレード
 【h120.jpg:村の皆さんの拍手】

 
【h128.jpg:Tell-Museumテル博物館のたそがれ時】



 
【テル父子像付近で猫が交通事故。心配する子供たち】
−−−

●出発の朝・・  ネコが・・


 5日ぶりに移動する朝、道傍にあるテルの像のところで、学校に行く子供たちが何人か集まりガヤガヤしています。窓からそっと覗いて見るとどうやら、猫が交通事故で怪我をしたらしいのです。この宿の前の急カーブな道は、人ばかりかペットにとっても危険なコーナーなのです。

 そのあと階下のドアが開く音、マスターの声、電話、車の音などが聞こえていました。結局この宿のマスターが知り合いの医者に電話し、猫を連れて行ったようなのです。

 
【d496.jpg:アドラーのマスターとたくさんの剥製】

 チェックアウト後、その優しいマスターの記念写真を頼むと、たくさんの鳥や動物の剥製のある部屋に連れて行ってくれたのです。
 何十代も続くこの宿の後継者は、あのウイリアム・テルの血を継いでいるのかも知れません。
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 2008年の年賀状はその「ウイリアム・テルのふるさと」を題材にしたものです。
  【●2008年の年賀状へ


●2000+8年
A Happy New Year.

「ウイリアム・テルのふるさとで」

昨年、スイス Bürglenビュルグレン村の
1574年建造のガストフ・アドラーに数日滞在し、
周辺の峠めぐり、ハイキングそして歴史を楽しみました。

1280年頃、この村でウイリアム・テルが生まれ、
1291年8月1日、原初3州が同盟・独立の誓いを立て、
1307年11月18日、アルトドルフで息子の頭上のリンゴを射抜き、
 神聖ローマ帝国や、代官ゲスラーの悪政に抵抗し・・・

そんな作られた話と、苦難を乗り越えた事実がミックスして、
村の、スイスの歴史が、長く語り継がれていきます。


昨今のまさかと思える「偽」や「無責任」事件は、すぐに忘れ去られてしまうでしょうが。

皆さまにとっても、思い出に残る「物語の一歩」の年になりますよう。

2008.1.1     T. & S. Kitamura

宿の利用結果:感想、お勧め度・・★宿代は2人分です宿の概要:住所・外観など
宿●:スイス:(ウーリ州UR):
Buerglen/Burglenビュルグレン
<Gasthaus Adler ガストフ・アドラー (☆なし)>



【マスターと剥製のコレクション】
・2007年6月22-26日、5泊。
・ビュルグレン、アルトドルフ、ルツェルン湖周辺の峠ドライブ・ハイキングの基地として
・ウイリアム・テルの教会に面した、1574年建造の古く味わいある建物。
・宿はクラウゼン峠に向かうカーブした道の真ん中にある。
・ツインルーム(朝食つき)40 Chf(約4千円)/2人・泊
・駐車場は目の前の教会わき広場。横断時自動車注意
・Marlis Burgler und Klaus Hergerさんの人柄で、バーには遅くまで村人が話しに来る。
・教会の鐘の音が15分毎ににぎやか。
私のお勧め度:3.5    【●利用した宿一覧へ
Gasthaus Adler



・住所など:Klausenstrasse 137. 6463 Burglen Uri Swiss
・Tel:+ -41-870-1133。
・E-Mail: herger.klaus@bluewin.ch
<近隣のサイト>
http://www.buerglen.ch/【Citta di Verbania】

●関連サイト


http://www.buerglen.ch/【Citta di Verbania】
http://scheinwelt.ch/【Burglen / Uri】
http://www.buerglen.ch/【Gasthaus Adler】

<関連書籍・地図>

ウィリアム・テル伝説―ある英雄の虚実:宮下 啓三 (著)
NHK地球たべもの大百科〈12〉スイス チーズフォンデュ
やさしく登れるアルプス3000m峰
アルプスハイキングと氷河特急のスイス
ヨーロッパ・アルプスハイキング・ガイド
Switzerland官製 スイス地形図/トレッキングマップ 1:100 000 /1:50 000 /1:25 000
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ヨーロッパ・アルプスエリアの国とハイキング・トレッキング・ドライブの地図:index


<Rutliリュトリ の ハイキング・・>
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