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Gosauゴーサウで、ポーランドの友人
【ポーランドの旅仲間:妻の作品(2006年ゴーサウで)

Ötztalエッツ渓谷・Söldenセルデン:
ポーランドの旅仲間との1週間

国際交流の難しさ・・
 男にはストレス?・・

オーストリア:チロル州】[北村 峠一].(Kitamura)      


●「ゲイシャ」「フジヤマ」・・
  2年前の旅で出会って・・


 実はポーランド人夫婦とこのセルデンの町で、合流することにしているのです。

 2年前オーストリア・ゴーサウ渓谷に1週間滞在したとき出合い、なぜか一瞬に意気投合した人たちです。奥さんの「H」は片言の英語を話しますが、ご主人の「R」はドイツ語。でも単語や筆談で会話は出来るものです。ただし彼の知っている日本語は「ゲイシャ」「フジヤマ」だけと、ちょっと司法関連の職業らしからぬ雰囲気でした。

 当時ちょうど開催中の2006年W杯サッカーの準決勝、ドイツ対イタリア戦の予想は、彼も私もイタリアの勝ち。ポーランド人は、ドイツの第二次大戦占領・虐待などの関係か、肩を持ちたくないようです。隣接国それぞれの感情は、根の深いところがあります。

 帰国後、妻と奥さんとの文通が始まり、たくさんの旅先の写真や手紙・葉書がこの2年間にやり取りされていました。妻にとっては英語の勉強になるらしく、「H」も住んでいるワルシャワで英会話教室に通い始めたとのことでした。

 妻たちのクリスマスカードのやり取りなどの間に、いつの間にか旅先でジョイントしようということになり、彼らが最後に2週間滞在(6/28-7/15)するこのセルデンの町に、私たちが旅のスケジュールを合わせたのです。

宿情報●オーストリア:チロル州:
Soldenセルデン
<Hotel Alpenland ホテル・アルペンランド(☆3)>

http://www.hotel-alpenland.com/
・住所:A-6450 Solden/Otztal/Tirol
・Tel.: +43 (0)5254 2365
・Email: info@hotel-alpenland.com
hotel-alpenland
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●ホテルは3ヶ月のバカンス・・連絡とれず・・


 彼らが宿泊する宿「Hotel Alpenland」はネットですぐ見つかり、何度もメールやWebで申込をしたのですが返事はありません。彼らはポーランドの旅行会社経由で申し込んだとのことでした。僕たちの宿確保はいつも現地での飛び込み、最悪同じ宿が取れなくても、隣の宿を取れば良い・・くらいの気持ちで旅に出たのです。

 合流する日まで、直前の滞在地カウナータールに居ても良かったのですが、やはり気がかり。宿の状況を知るためもあって、1日早めの6/27(金)にこの町に到着します。

 宿の場所はすぐに判ったのですが、店先の張り紙では6/29(日)から開店とのことです。スキーのシーズンが終わった後の3ヶ月ほど、この宿は休暇で連絡が取れなかったのです。多分その間、経営者や料理人はバカンスや故郷に戻ってゆっくりしていたのでしょう。

 まさに開店準備のため、ベランダに飾る花やメンテナンスの工具などが運び込まれていきます。大きな掃除機でロビーのイスなどを大々的に掃除しているのは、業者? 宿の人でしょうか。声を掛けると、中からなかなか美人のお姉さんが受付に出てきました。

 彼女の英語はわかりやすく、「明日(6/28)から泊まれる、そのポーランド人も予約している」ということを確認して、僕たちも7/3までの宿泊予約を無事したのです。2食付で36ユーロ/人泊(約6千円)ということで、カウナー渓谷の3食飲み放題41ユーロ(約6.9千円)よりはちょっと割高ですが、ここは観光地ですから多分周囲の宿より安いはずです。

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●家族連れなら・・ペンションはさらに割安・・


 さて今晩1泊はどこに泊まる? 宿のお姉さんに心当たりを聞きますがあまり商売っ気がなく、ツーリスト・インフォメーションの場所を教えてもらいます。

 Söldenセルデンのインフォの娘は、やはり観光地だけのことはあって美人。その娘に紹介してもらった1番近く安い宿は、不在。次のペンションは街の中心からは少し離れてはいますが、氷河道路への入り口にあって、朝食つき50ユーロ(約8500円)/2人。ベッドルーム以外に大きなソファーが2個ある部屋もあり、バスタブ付き。スーパーも目の前で好条件、子供づれの長期滞在などには最適な宿です。

 ここでの夕食は、そのスーパーでそろえたワインとビールの部屋食でした。翌朝の食事も平均以上、次回この町に泊まるときにはきっと使うことになるでしょう。

宿情報:●オーストリア:チロル州
Soldenセルデン
<Pension Viktoria ペンション・ヴィクトリア>

【Viktoria】
・2008年6月27日-28日朝、1泊利用。
(Hotel-Alpenlandが翌日Openのため1日のみ利用)セルデンをベースに滞在時有効。
pension-viktoria ・個人経営。
・ツインルーム、B&B(朝付)(50.40eur(約8千円/2人)
・朝食は豪華で、かなり割安。
・ベットルームに付属し、広いリビングルームがある、ベランダも。
・氷河道路への入口、スーパーも近い。各地への基点になりうる。
・駐車場は建物内。
私のお勧め度:4.5 宿情報一覧hotel-guide
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http://www.pension-viktoria.com/
・Familie Plorer
・住所:Gletscherstr.4,A-6450 Solden
・Tel.: +43(0) 5254-2455 Fax: +43 (0) 2983
・Email: info@pension-viktoria.com  ・Google地図
Seldenの宿 Seldenの宿
【g618.jpg:部屋食】 【g619.jpg:ペンションの朝食】

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●彼らは4人で来ている?・・


 チェックインが2時以降なので、近くの「ヒンターセルデン」に自動車で登り、2時間ほどのハイキングをします。氷河を正面に見ながらのほぼフラットなコースは、たくさんの種類の花が咲き、なかなか良いコースです。

 2時、宿にチェックインします。ポーランドの友人がすでに受付を済ませているのを確認し、電話で呼んで貰ったのですが不在でした。そのとき宿帳の彼らの部屋の人数欄に、なぜか4人というメモがありました。だれか知人と来ているのでしょうか。彼らから事前に教えてもらった携帯電話に掛けてみますが「サービス外」。まあ、夕食のときになれば会えるでしょう。

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●セルデンにある「塩沢橋」・・


 インフォメーションでお勧めのハイキングコースなどを聞きに立ち寄りますが、その手前のエッツ川にかかる橋に、「塩沢橋」と漢字で書かれたプレートがかかっていました。

 さらにその奥には、1987年の「大水害復興記念碑」があり、町長小野澤、区長小野塚さんの名もあります。私の知っている人と同じ名字、たしか新潟県出身なので、きっと遠い親戚なのでしょうか。姉妹都市を結んだ町相互の災害見舞いやスポーツ大会など、地球はほんとうに狭くなりました。スキー場という共通の文化があるので、国際交流も長く続けていけるのでしょう。

●新潟県塩沢町とセルデン町は姉妹都市


1982(昭和57)年4月24日:両町が姉妹都市を提携
・以降定期的にスキー大会など開催交流
1987(昭和62年)8月:セルデンで集中豪雨による大災害発生
・10月:石打区が中心となり災害見舞い募金活動で132万円を贈る
・決壊復興した橋の名称を「塩沢橋」と命名、友情の記念碑建立

塩沢町の姉妹都市情報
Solden1987.8の大洪水情報
Oetz渓谷災害情報

Seldenの宿 Seldenの宿
【h950.jpg:塩沢橋】 【h951.jpg:大水害復興記念】

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●2週間なら3600円で3食、スイーツ、飲み放題・・


 夕食の時間、レストランに入ると席が決まっていました。隣のテーブルが友人の場所で、来たらそちらに案内するとのことで、ビールを頼みながら待ちます。

 そして彼らが来たのです。普段照れくさくて出来ない「ハグ(hug)」も、こんなところに来ると自然に腕を回せます。「奥さんも抱いて良いのかな」などと思わなくてもいいのです。結局彼らは4人で旅しているわけではなく、宿に入ったとき、我々との相席を依頼していたらしく、それで4人というメモがあったようです。ちょっと心配だったこともすっかりなくなり、2年ぶりの再会にディナーとビールがすすみます。

 直前のカウナー渓谷の「飲み放題の宿代システム」の話題になったとき、実は彼らのこの宿での支払いも同じ仕組みなのを知ったのです。旅行代理店を経由したその料金体系は、
 一般の料金は、僕たちと同じ「2食付36ユーロ/人泊(約6千円)」。それが旅行代理店経由で1週間予約すると同額で「3食+ティータイム+飲み放題」になり、さらに2週間連続の宿予約をすると「約4割の割引」というのです。

 つまり22ユーロ/人泊(約3600円)にまで安くなるわけで、物価の安いポーランドから見ても、ここまで安い宿はなかなか無い。そこで2週間の宿を申し込んだということだったのです。

 その後、毎日のお昼のランチボックス(サンドイッチと果物)、外から帰ってきてのティータイム(ケーキとビールなど)、夕食時・後のビールなど、僕たちは自腹でしたが、彼らはすべて込みでかつ6割。是非日本の旅行会社も、このシステムを紹介・導入してほしいものです。

Seldenの宿 Seldenの宿
【g835.jpg:ある日の夕食】 【g720.jpg:宿に帰って・・彼らはフリーの飲み放題】

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Seldenの宿
【Soldenセルデンを中心にあちこちハイキング】

Seldenの宿
【g716.jpg:カメラ狂?・・これは笑いながらですが】

●2人とも超ヘビースモーカー、そして写真狂?・・


 合流した翌日は、オーバグルグルからホーエムートのハイキングコース。快晴の360度の展望、いくつもの氷河が見え、こんなに素晴らしいところははじめてです。でも彼らのヘビースモーカーぶりはすごく、休む先々で即タバコを吸うのです。そして休憩設備のあるところ毎に「お茶」。

 「R」のカメラ熱はものすごく、同時に持参しているビデオカメラの撮影では、登場人物へのアクション(ちょっと大げさ?)指導も。私もかなり大量の写真を撮りますが、絶対に負けます。

 結果としてハイキングのペースは遅く、足の弱い妻にとっては、ちょうど良い速度となったようです。

Seldenの宿 Seldenの宿
【v440.jpg:夫婦でヘビースモーカー】 【v001.jpg:カメラ・ビデオ狂】

Seldenの宿
【v002.jpg:ビデオで登場人物への指導も】

 その翌日は朝方に小雨のため計画していた遠出を止め、2日前に歩いた「ヒンターセルデン」をのんびりと散策。

 その次の日は、この付近で一番高い「ガイスラッハ・コーゲル」にロープウェイで往復。途中駅から水平に「ガイスラーアルム」までハイキングし、ホテル主催の「グリル(バーベキュー)」の夕食ツアーに参加しました。
 しかし、おいしいビーフはすぐに無くなり、ポークとソーセージは人気がありません。安く上げようとする宿のサービスですから、それ以上を希望しても仕方ありません。

 その日、「R」はかなりひどい頭痛になってしまい、帰りの車の中は無言でした。

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●ジョイントは3日が限度?・・独自行動も必要・・


 セルデンでの最終日、僕たちは氷河有料道路の突き当たり(2835m。ヨーロッパアルプスの舗装道路で、普通自動車で登れる最標高地点)まで行きますが、まだ1週間滞在する彼らは、3日後に開通するその先のトンネル道路も走ろうと、それぞれの計画で行動します。そしてまた3時過ぎ、宿のベランダで彼らと合流、雑談したのです。

Seldenの宿
【g773.jpg:ヒンターセルデン】
 自由にその日限りの計画で旅をする我々にとって、他の方との長いジョイントは疲れるものです。今回の5日間の密着した同一行動は、なにかと気疲れしました。そこに来て十分な意思疎通がしにくい、母国語以外の会話です。

 平然としているように見えた妻の口からも、「ジョイントは気疲れするわね」という言葉も出てきました。英語が話せない「R」にとっては、さらに疲れもあったでしょう。頭痛の原因にもなっていたかもしれません。

 以前の経験ですが、お世話になった2人の方を連れて1週間ほどの海外旅行をしたことがあります。1台のレンタカーに乗っての旅は、ほぼ24時間密着。現地で宿を探すという私の旅パターンに、ヒヤヒヤしながら付き合った方たちも、かなり疲れたでしょう。その後、疎遠になってしまいました。あれで日本語で会話できなかったとしたら、どんなことになっていたでしょう。

 現地駐在の夫婦と、海外で2台の車で合流したこともありました。3日ほどの行程でしたし、日本人同士でしたからあまり無理もない旅でした。また、海外に住む日本の若い女性を乗せての4日ほども旅も、特に問題はありませんでした。

 人にもよるのでしょうが、女性同士のほうがこういう旅生活には適応しやすいのかもしれません、話題がちょっとした生活レベルまで広げられるので。それに対し男のほうは、仕事などの目的がはっきりしている場合は良いのでしょうが、趣味や遊びという場合に、ストレスが溜まっていくような気がします。

Seldenの宿
【v437.jpg:別れ】
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●ワルシャワへの招待・・2週間も・・


 ワルシャワに是非来てほしいという話が、彼らから出てきました。「1週間では短か過ぎる、2週間」とも。

 ヨーロッパの人たちが、友人たちとジョイントしながら約1ヵ月の長旅を、毎年継続させている方法を、私たちももっと観察・分析していく必要がありそうです。そして僕たちの旅のパターンや考え方も、徐々に変えていく必要を感じたのです。

「日本にもどうぞ」という話には、「10時間以上もの飛行機、そんなに長くタバコを吸わないわけには行かないから無理」と、ヘビースモーカーの彼らの答えには、納得してしまいました。

 出発の朝、「次回はワルシャワで」の固い約束のハグで、彼らと別れたのです。

宿情報●オーストリア:チロル州:
Soldenセルデン
<Hotel Alpenland ホテル・アルペンランド(☆3)>


【Gaislach Almでのバーベキュー風景】
・2008年6月28日-7月3日朝、5泊利用。
・セルデンをベースとした滞在。
・家族経営、1930年頃から営業。
・ツインルーム、ハーフペンション(夕・朝付)(72.4eur(約1.2千円/2人)比較的安い。
・友人とこの宿で合流したが、彼らは2週連続宿泊でAll Inklusiveで38%引きのツーリスト金額だった。
・料理は、はっきり言ってまずい。これが連日だと辛い。
・普通サイズの部屋。
・各地への基点になりうる。
・駐車場は建物の前・横だが、部屋数に比し少なく取り合いになる。
・Gaislach Almを同時経営している。
私のお勧め度:3.0
宿情報一覧hotel-guide −−
http://www.hotel-alpenland.com/
・Familie Gstrein
・住所など:A-6450 Solden/Otztal/Tirol
  Tel.: +43 (0)5254 2365 bzw. 2050 fax: 0043 (0)5254 20505
Email: info@hotel-alpenland.com
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●DVDと・・金融危機と・・


 旅の2ヶ月ほど後から、スライドショーの写真、見事に編集されたDVDのビデオが3回にわたって送られてきました。「R」の力作です。私もしぶしぶ似たようなものを作ってみたのですが、やはり経験不足。やっと送ったのが旅から半年過ぎたクリスマスでした。

 秋以降の新聞では、ポーランド通貨下落がかなり深刻と書かれています。妻たちの文通も続いていて、最近来たチュニジアからの絵葉書の文面の中には、「金融危機」のことも触れられています。

 さて彼らの今年の旅はとうなるのでしょう?

 そして僕たちの「ワルシャワ行き」はいつに?
Seldenの宿
【g863dv.jpg:旅のDVDとスライドショーを送る・・】




<散策した各地の紹介を・・次週夜UP予定>
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