記事No | : 598 |
タイトル | : Col du Ballon バロン峠 1173m |
投稿日 | : 2009/07/23(Thu) 09:27:41 |
投稿者 | : romeosierra3 |
Col du Ballon バロン峠 1173m
バロンとはバルーン、即ち風船峠で、侵食が進み真ん丸のピークが風船に例えられての命名である。ボージュ山脈の山並みそのものを指す言葉でもある。
ボージュ山脈の最南端にあり、シュルクト峠より高いが、この峠は、天気が良ければスイスアルプスも遠望できる展望台Ballon d’Alsace=バロン・アルザス1178mに至る半ば観光用の道路で、バロン・アルザスに用事が無い人は通らないと思われる。ただし、北から南に通過できるのでkitamura師匠の定義によってボージュで車が通過できる一番高い峠と言っても良い。
バロン・アルザスは北側を通る幹線峠のCol du Bussang 1018m(ボノム峠より高かった!、ごめんなさい)からのアプローチ道路がほぼ通年通行を確保されるのに対してバロン・アルザスを通過して南に降りるバロン峠は除雪されないので、積雪期には登ってくる車は無く、峠の下り付近は雪の峠道運転練習に最適で、シーズン初めには雪踏みに通った。
Col du Bussangはロレーヌから南部アルザスの都市ミュールーズに至る峠で、途中のThannの教会の尖塔はアルザスで一番美しい搭と言われている。またアルザスのワイン地帯はここから北に広がっており、Thannはアルザス・ワイン街道の南側の基点になる。ロレーヌ側は雪が多く、スキーによるトレッキングコースが数多くある。
この峠も第二次大戦末期の米第7軍のアルザス進撃路になった。
バロン・アルザスには第一次、第二次大戦の激戦地ボージュ山中の地雷除去作業完了の記念碑がある。ボージュ山中での、花摘み、ミルティーユ摘み(ブルーベリー)、きのこ狩り、ハイキングなどで安全に入れるようになったのは1950年代であり、地雷除去作業では犠牲者も出たという。
ミュールーズの国立自動車博物館は必見である。常時展示台数は500台以上で世界一、130台に及ぶブガッティのコレクション、戦前のグランプリ・レーサー群、歴代のル・マン優勝車を含む戦前戦後のレーシング・スポーツ・カーやフォーミュラー・カーなどが元織物工場の広大な屋内ワンフロアに展示されており、壮観である。
アルザスの代表産業であった織物工場のオーナーのコレクションであったものを会社倒産による散逸の危機からフランスが国家買上げという荒業で救ったもので、国立になってからもコレクションは増やされている。
現在のアルザス最大の工場は、ミュールーズ郊外にあるプジョーの組立工場で、105、205といった小型車を生産し、プジョーのドル箱であるという。プジョーの完成車を満載した長大な自動車輸送列車が走る姿はコルマール近辺ではお馴染みである